Luc Besson監督作品 Lucy 2015.07(2014)
ご存じフランス出身の映画監督リュック・ベッソン(Luc Besson)によるSFアクション映画である。主人公の名前に自身の名前を使うあたりはさすがにベッソンとしか言いようがないのだが、そのルーシー役には当代きっての女優スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)を起用。他にモーガン・フリーマン(Morgan Freeman)、チェ・ミンシク(崔岷植)といったその演技力に定評のある役者を揃え、ヨハンソンを盛り立てる、といった趣向になっている。
ところは台北。当地に住む平凡な女性ルーシーはマフィアの取引に巻き込まれ、CPH4という薬品の運び屋に仕立て上げられてしまう。その方法は、下腹部に薬品の入った袋を埋め込む、という何とも非衛生的なもの。拷問で腹部を蹴られた際に薬品の袋は一部破損し、薬品は彼女の体内に流れ込んでしまう。この薬品、実は人間の脳のパフォーマンスを極限にまで引き上げる、という効能を持つシロモノだった。潜在能力を覚醒させたルーシーは、さらなる覚醒を目指しより多くのCPH4を手に入れるために奔走し始めるのだった、…というお話。
確かに、どう考えても全盛期だった1980年代、90年代の輝きは失われているものの、舞台設定や人物配置等々にあの頃の雰囲気を感じさせるところが多くて、懐かしさを覚えた次第。チェ・ミンシクの起用、台北という冒頭の舞台、『AKIRA』や『攻殻機動隊』からのかなりあからさまな引用等々、同監督の目が東アジアに向いていることがうかがえてしまう作品で、本格的に東アジアを舞台にした作品が近い将来作られることがあるのかも知れない。楽しみにしたいと思う。以上。(2015/10/03)