Blur The Magic Whip
英国のロックバンドであるBlurによる、Think Tank以来実に12年振りとなるオリジナル・アルバム。ベースとなる音源は香港で録音された模様。バンド自体は長い休止期間を経て2009年に活動を再開していたものの、まとまったオリジナル楽曲集を出すのはこれが初めて、となる。サウンド的には、全盛期だった1990年代前半に戻った印象を受ける。ギターを基本に据えた独特のポップで洒脱なサウンド・スタイルは健在。それに加え、メイン・ヴォーカルのデイモン・アルバーン(Damon Albarn)やギタリストのグレアム・コクソン(Graham Coxon)らメンバ各々が、そのソロ活動他で培ってきた音楽性がそこかしこに散見され、アルバムに奥行きと深みを与えている。いかにも彼ららしい賑(にぎ)やかさを持つ第1曲”Lonesome Street”、ノイジーなギターが良い味を出している先行リリース曲の第3曲”Go Out”、短いんだけれど(2:52)やたらとカッコ良い第6曲”I Broadcast”などが強く印象に残る。彼らの作ってきた数あるアルバムの中でも良作の部類に入る作品だと思う。以上。(2015/07/10)