Jeffrey Jacob Abrams監督作品 M:I:III 2006.11(2006)
元々人気TVシリーズだった作品の劇場版長編としてシリーズ化されたこの作品も、最初のものから約10年を経てとうとう第3作目となった。この映画はまた、同じく人気TVシリーズであるFelicityAliasLost等のプロデュースを手がけてきたジェフリー・ジェイコブ・エイブラムス(Jeffrey Jacob Abrams)が、初めて手がけた劇場用長編映画、ということになる。
ブライアン・デ・パルマ(Brian De Palma)が作った1996年公開の第1作はどう考えても大変な傑作だったけれども、ジョン・ウー(John Woo)による2000年公開の第2作は明らかに見劣りのする内容だった。そんなこともあり、この第3作には余り期待していなかったのだが、蓋を開けてみれば最初から終わりまでほとんど「ムラ無くスキ無く」作られた「見事」と言って良いほどのアクション映画で、この監督の手腕は相当なものではないか、と考えたのだった。
教官職に退いている主人公イーサン・ハントが、結婚を控えているのにも関わらず呼び出しを喰らい、婚約者までもが『カポーティ』で一躍スターダムにのし上がったフィリップ・シーモア・ホフマン(Philip Seymour Hoffman)演じる悪役との闘争に巻き込まれる、という、まあありがちとは言ってもこうすれば盛り上がるのは当たり前、というようなストーリィ展開を持っていて、それが上に述べたスキの無さと相俟(ま)って全く見飽きる部分が無い。
キチンと911後の世界情勢を踏まえていたり、世界各地でのロケーションは大変だったろうな、などという感想を抱かせたり、往年の『スパイ大作戦』ファンも間違いなくうならせたはずの「不可能状況」の作り込みや、更にはそれを突破するために用いられる小道具や技法群の数々等々(ネタバレになるので詳細は省いた。)、単純なエンターテインメント作品として楽しむ他にも色々な楽しみ方・観方が出来、そういう意味で実にサーヴィスの行き届いた作品となっている、ということも述べておきたい。
蛇足なのだが、ハントの上司役をしているローレンス・フィッシュバーン(Laurence Fishburne)が、「マツケン」に似過ぎであることに今更気付いた。既に指摘されているとは思うのだが(というか、されている。)、一応記しておく。以上。(2007/03/17)