Luc Besson監督作品 Arthur and the Minimoys 2008.01(2006)
リュック・ベッソンがどうやら引退作となる劇場版長編映画として世に送り出したのは実に3DCGアニメーションによる冒険活劇。10歳の元気な少年アーサーが、自分の住む家が他人の手に渡る危機を救うべく体長2mmの大きさになって潜り込んだ、妖精ミニモイ達などのミニチュア種族が住む世界で繰り広げる大冒険を描く。出演者としてアーサー役にフレディ・ハイモア(Freddie Highmore)、その祖母役にミア・ファロウ(Mia Farrow)、そしてまたミニチュア種族達の中での主要登場人物の声役としてマドンナ(Madonna)、ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)、デイヴィッド・ボウイ(David Bowie)といった極めて豪華な顔ぶれを揃えている。
話の持っていきかたがやけにまどろっこしくて、ミニチュア・ワールドに入るまでに30分ほどかかるのには少々苦言を呈したいと思うのだけれど、独特な世界構成といい、現実世界とミニチュア・ワールドとの話の間のつなぎ具合といい、それはそれはとても良く練られたもので(お決まり、なところも多いのだけれど…)、一応どなたでも楽しめる内容なのではないか、と思う。ただ、やはりベッソンらしさは非常に希薄なのも確かなことなのである。引退作で、舞台がアメリカ、台詞が英語(ちなみに、一応フランス語版も存在する。)、というのも、例えばフランス人的にはどう考えるのか、とても気になるところ。もう一つ付け加えると、音楽担当がいつもの通りエリック・セラ(Éric Serra)なのに、何だかそれらしくない、ベッソンの映画はこうじゃない、という印象を受けた次第。
なお、アーサーと言えば「円卓の騎士」であり「エクスカリバー」であり、そしてまた「マーリン」なのだけれど、本作ではさりげなくエクスカリバーのエピソードが使われている以外はそれほどアーサー王神話から色々なものを借りてきているわけではない。それは兎も角、アーサーの祖父アーチボルド氏にこの作品の中で重大極まりない意味を持つ宝物をくれたアフリカのどこかの部族と覚しき人々(設定ではマサイ族ライクな、ということらしいのだが…)が何故に、そしてまたどうやってアメリカに来ているのか良く分からなかったのだが、誰か分かる方は教えて下さい。単に友人であるアーチボルド氏に会うために飛行機でやって来ただけなのかも知れないのだが…。以上。(2008/03/25)