LINKIN PARK MINUTES TO MIDNIGHT
全米1位どころか、日本の国内チャート=オリコンでも1位を獲得してしまったリンキン・パーク(Linkin Park)による4年振りのリリースとなった第3作目。どう考えても今年聴いたものの中では最高の出来なわけで、ネタが尽きてしまいがちな3作目でこういうとんでもないものが作れるこのバンドの懐の深さに感じ入った次第である。ラップとスクラッチを絶妙なバランスでハード・ロックに混ぜる、という、数多のエピゴーネンを生み出した手法の曲は皆無に近く、基本的にオルタナティヴ・ロックにカテゴライズ出来るロック・チューンが大多数な全12曲からなるアルバムなのだが、兎に角スキがない。前奏になっている第1曲"Wake"に続く何ともカッコ良いギター・サウンドを基調とした第2曲"Given Up"から、シングル・カットされても良さそうなバラードの第3曲"Leave Out All The Rest"、これまでの路線に最も近いのだが微妙にスタイルが違うコンパクトな第4曲"Bleed it Out"までがある意味イントロ部分。そしてこのアルバムはU2のあの名曲に良く似た第5曲"Shadow of the Day"からいよいよ本題に入り、メッセージ性の強い先行シングルの第6曲"What I've Done"、第7曲の何とも静かなラップ・チューン"Hands Held High"、昔のRadioheadみたいな第9曲"Valentine's Day"、同じくOasisを思わせるオルタナティヴ・ロック以外の何ものでもない大変な名曲の第10曲"In Between"、Postal Serviceを思わせるエレクトロ・ポップ・チューンの第11曲"Pieces"を経てラストの大曲"The Little Thing Give You Away"まで、完全無欠の楽曲群が並ぶ。これだけ色々なことをやっていながら全然散漫になっていないし、個々の楽曲も何とも素晴らしい、というのは驚異的なことではないかと思う。リンキン・パークは、このアルバムをもって名実共に2000年代を代表するバンドとなった、と言えるかも知れない。以上。(2007/06/06)