Chloé Zhao監督作品 『ノマドランド』
中国籍の映画監督クロエ・ジャオ(Chloé Zhao)による長編映画。主演はオスカー2回受賞(しかも主演女優賞)を誇るフランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)。もしかしたら3回目かも、という作品で、その他計6部門にノミネートされている模様なのだが、正直な話、このノミネートを含む各方面からの高評価は全く理解できない。
マクドーマンド演じるファーンは夫に先立たれ、不況下で家を失い、自家用車に寝泊まりして暮らすことになった。北から南へ、そして再び南から北へ。様々な人との出会いと別れ、亡き夫への思い、現代アメリカの「ノマド」であるファーンの1年を淡々と描く。
別段どうということもない作品。というか、かなり苦痛。久々に、時間の無駄だな、とさえ思った。ファーンは最悪の事態に陥ることはない立場なので、切迫感が全くない。要するにこの人には行き場がたくさんあるのだ。単に、好きで車上生活者になっただけ、なのだ。
他に行く当てがなくて、本当に最後の手段として車上生活者となった高齢者達の姿を本気で描きたいのだったら、ファーン抜き、が正しい作り方だったと思う。
そうなると多分、限りなくドキュメンタリに近づくことになるが、この映画のような陳腐で紋切り型の脚色が入っている位なら、そっちの方が間違いなく何百倍もマシで、個人的にはそういうものをこそ観てみたい。以上。(2021/04/05)