THE SMASHING PUMPKINS OCEANIA
1990年代を代表するオルタナティヴ・ロック・バンドであったThe Smashing Pumpkinsによる、再始動後2枚目のオリジナル・フル・アルバムである。前作Zeitgeistのリリースが2007年なので、その間実に5年。そんなに経ったのか、というのが正直な感想なのだが、その間新作の噂が出ては消え出ては消えし、メンバの入れ替えだの、2010年には来日していたり、と結構色々あった。それは兎も角、とうとうオリジナル・メンバはビリー・コーガン(Billy Corgan)一人になってしまったこのバンド、要するに彼のソロ・プロジェクトみたいなものかとも思ったりするのだが、このアルバムを聴く限り、全編にわたって繰り広げられる徹底したバンド・サウンドの追求とか、各パート・メンバの演奏レヴェルの高さやミュージシャンとしての個性がアルバムの随所に現われていることもあり、ちょっと違うな、と思い直した次第。このアルバム、セールス的にもかなり成功したようなのだが、近いうちにこのメンバで来日しないかな、などとも思う。さてさて、中身はと言うと、オープニングの"Quasar"からラストの"Wildflower"まで、基本ギター・メインのハード・チューンが続くのだが、例えば第3曲"The Celestials "ではアコースティックな指向性、折り返しの6曲目"One Diamond, One Heart"では一瞬シンセ・ポップ路線を垣間見せたりもする。最も印象に残る8曲目のタイトル・チューンは往年の彼等のような、ちょっとプログレを彷彿とさせる大曲で、更にはドラム・ギターともに誠に素晴らしいテクニックが披露されている。その後も基本ギター・ロックが続き、ラストの第13曲目"Wildflower"はアンビエントで締め、という感じ。壮大にして、緻密。メランコリックにしてヘヴィ。一旦原点に戻りつつ、そこから数歩踏み出した感じの、快作である。(2012/8/21)