Tracey Thorn Out of the Woods
しばらくアルバムを出していないエヴリシング・バット・ザ・ガール(Everything But The Girl)の女性ヴォーカルであるトレイシー・ソーン(Tracey Thorn)による実に25年振りのソロ・アルバムである。実はこの人、EBTG以前にソロ作を1枚出していて、それが何とも懐かしいA Distant Shoreという作品。これは英国における1980年代的アコースティック路線の定着を決定付けるのにも貢献した結構記念碑的な作品だったと思う。ちなみに、この時期に出ていた英国インディーズあるいは半メジャー系のアルバム群は何とも凄いものが多い。Rough Trade、Le Disque Du Crepuscule(ベルギーのレーベルだけれど元は英国Factory。ここもまた、Muteと並んで重要なレーベルの一つである。)、Virgin、Cherry Red Records、Blanco y Negro、etc.といった新興レーベルの勢いは大変なモノだった。付け加えると、上記ソロ作もCherry Red Recordsからリリースされていた。それは兎も角、本作は1990年代におけるEBTGのエレクトリックな路線を継承しつつも、やはり基本的にはヴォーカリストとしての面を強調した内容になっていて、楽曲構成も緩急自在、というような感じ。派手さはないけれど、しっかりとした造りの大変エレガントなアルバムとなっていると思う。以上。(2007/03/14)