Gore Verbinski監督作品 Pirates of the Caribbean : Dead Man's Chest 2006.12(2006)
言わずと知れた、ジェリー・ブラッカイマー(Jerry Bruckheimer)製作によるウォルト・ディズニィ・ピクチャーズによる人気海洋冒険ロマン第2弾である。別段内容を示す必要もないかも知れないのだが敢えてそれをすると、性格俳優もこういう役も自在にこなす天才肌の役者であるジョニー・デップ(Johnny Depp)扮する海賊にして船長のジャック・スパロウ及び、今や世界最高の二枚目俳優になりつつあるオーランド・ブルーム(Orland Bloom)扮する鍛冶屋にして剣豪のウィル・ターナー、そしてキーラ・ナイトリー(Keira Knightley)扮するそこそこ戦闘能力が高いその婚約者のエリザベス・スワンをメイン・キャストに据えた単純明快な冒険活劇、と要約してしまえるだろう。
さてさて、第1作『パイレーツ・オブ・カリビアン:呪われた海賊たち』の完成度たるやそれはそれは凄まじいものであって、2003年に公開されたあの映画に使われた映像技術というのは、最早「特撮」であるとか、「CG合成」であるとか、そういうことをほとんど感じさせない位のものになってしまっていたし、それに加えて見事な殺陣やらプロット構成やらキャラクタ造形やらといった一切合切が、エンタテインメント作品としては〈完璧〉としか言いようのないものだった。要するに、ここまで娯楽性というものの追求を徹底的に試み、そしてまたキチンと結果を出した作品というのは珍しいわけで、こういうもの(=ハリウッド製エンタテインメント映画)をバカにしがちな人も、これだけは観ておいた方が後々のためじゃないか、というくらいの作品だと思うのである。
で、この第2弾の出来具合も実に見事なもので、ちょっと気になった前半から中盤までのややまどろっこしい展開も、取り敢えずこの映画が一応の「終わり」を迎えることによってその意味するところが判明するので問題無し、となる。その辺は観てのお楽しみである。ちなみに、次作は劇場に足を運んでしまうかも知れない。
やや蛇足めくのだが、日本では特にコミック界において海賊みたいなものが出てくる冒険ロマンなりファンタジィなりという意匠は一定の市場を占めてきた。『週刊少年ジャンプ』連載のあの〈オバケ〉マンガ『ONE PIECE』や、『ヤング・マガジン』連載の一般的な評価は低いけど個人的にはそんなに悪くないと思う『万祝(まいわい)』を初めとして、古いものや宇宙海賊ものまで入れると実に数多くて切りがないほどである。特に前者についてはかなり前からアメリカにも輸出されていて、そのアニメ版も当たり前のように放送されている関係上、この映画に多大な影響を与えていそうな気さえするのだが(敵キャラとか、エリザベスとかモロじゃん…)、この映画がすんなりと受け入れられる素地みたいなものは、案外その辺にあるんじゃないか、と考えている次第である。以上。(2007/03/05)