DIDO Safe Trip Home
特徴のある声で数多くのリスナを惹き付けてやまない女性ヴォーカル・ダイド(Dido)の通算3枚目。冒頭の"don't believe in love"ではシャーデー(Sade)みたいなJazzyな雰囲気で始まって、次の曲"quiet times"ではアコースティック路線へと移行、中期スティーリィ・ダン(Steely Dan)みたいな名曲である第3曲"never want to say it's love"を経て、このアルバムの中心になっている第4曲"grafton street"へと進む。この曲、ブライアン・イーノ(Brian Eno)がプロデュースと演奏に加わっているのだけれど、アンビエントな雰囲気と彼女の独特なファルセットが見事に溶け合って本当に素晴らしい。その後もフィオナ・アップル(Fiona Apple)風の第5曲"it comes and it goes"、気怠い第7曲"us 2 little gods"、ほんの少しノラ・ジョーンズ(Norah Jones)っぽい第9曲"let's do the things we normally do"等々、捨て曲無しの構成を貫きつつ最後に待ち受ける長大な第11曲"nothern skies"で終結する。その実、全く隙のない、という感じの恐ろく完成度の高いアルバムで、5年も待った甲斐はあったな、というところ。次回作は一体何年後になるのだろうか、と思ったりもしてしまうのだが、本作同様じっくりと練り上げて欲しいものだ。以上。(2008/12/30)