西尾維新著『新本格魔法少女りすか3』講談社ノベルス、2007.03

1981年生まれの作家・西尾維新による「新本格魔法少女りすか」シリーズ第3弾である。って、タイトルそのままだけれど…。それは良いとして、第1弾が2004年7月、第2弾が2005年3月、とハイペースで来て、その次が2年あいたわけだけれど、どうやらこのシリーズは次の第4弾で完結するということになるらしい。
『ファウスト』に連載されている小説であるということもあり気になって調べたのだが、この雑誌、2005年暮れにVol.6ABが出て、どうやら次巻Vol.7は今月刊行らしい。2年半のブランク、と。『りすか3』所載の作品というのはVol.Bまでのものなので、要するに現時点ではここから先は公刊されていない、ということになるわけだ。あと4話、ということになっている模様なので、一体完結まで何年かかるか見当もつかないのだが(既に書き終えているんじゃないかと思っているのだが…)、それまでは取り敢えず生きていようと思う。
ちなみに中身を簡単に紹介しておくと、タイトルの通りの「魔法少女もの」冒険小説である。当然それだけではなくて「りすか」が「リストカット」の略だったりすることからも想像可能なようにかなり血みどろな感じのテイストになっている。まあ、登場人物達はりすか及び彼女の仲間や敵を含め、大旨基本的に魔法使いというよりスタンド使いに思えるのだけれど…。
そんなわけで端的に小説版「ジョジョ」というか「ジョジョ」九州編を目指しているこの作品、一見ライトノベル風であり当世において市民権を得たキャラクタ小説そのものな部分も多々あるのだけれど、さりとてこの作家のネーミング・センスであるとかキャラクタ造形力であるとか、更に言えば基本的な文章力・構成力というのは本当に大変なものなのであり、やはりただのエンターテインメント小説ではない何かを体現した極めて質の高い作品だと考えている。次の最終巻を心待ちにしたい。以上。(2008/06/12)