舞城王太郎著『獣の樹』講談社新書、2010.07

講談社創業100周年記念の書き下ろし作品である。超大極まりない作品で500ページを超える。それって普通じゃん、と思ったりもするのだが、その密度と言ったら、である。この人の作品らしく、最初から終わりまでノンストップ、息つく間もないほどめまぐるしいお話が展開されている。
物語の舞台は福井県の西暁(にしあかつき)町。なので、西暁サーガの系列に入るのだろう、と思う。路線はそのようなものだし。主人公は馬から生まれた背中に鬣(たてがみ)を持つ少年。あれ、どっかで読んだぞ、と思うはずなのだがそれは基本的に正しい。微妙に違うのだが…。やがて発見者である正彦の家に引き取られた少年は、河原成雄(なるお)という名を貰い、学校に通い始める。
少しずつ世間との折り合いも付けられるようになってきたある日、アナコンダに乗る少女・清野楡(にれ)と出会い、その運命は急転する。実の両親とは誰で何者なのか、そしてまた楡とその仲間達が企む計画とはいかなるものなのか。成雄のアイデンティティと世界の終末を巡る物語は嵐のように突き進み、やがて、というお話。
もうワケ分かりません(笑)。ああ、そうでもないかな。でも、相変わらず発想は凄いな、と思う。パウリとか、ピノキオとか、アナコンダ革命とか。いやー、凄まじい。
以上、全然評論にも紹介にもなってないな、ごめんなさい。謝る必要もないけど(笑)。ちなみに、これ、続編あるのよね?それともこれでおしまい?(2010/10/07)