岡嶋裕史著『ブロックチェーン』講談社ブルーバックス、2019.01

総合政策の博士号を持つ岡嶋裕史(ゆうし)によるブロックチェーンの入門書である。副題は「相互不信が実現する新しいセキュリティ」。
仮想通貨とか暗号資産と呼ばれるものの普及に伴って、にわかに脚光を浴びたブロックチェーンだけれど、その実、技術的な部分についての概要を改めて勉強するには、格好の書、と言えるだろう。
結構具体的に書かれているところが本書が持つ最大の有用性で、ビットコインがどんなものなのかを知りたければ、まずは本書のガイドに従って手で触ってみると良いと思う。使って学ぶ、はこの世界の基本メソッドである。
なお、良く言われるように、国家や権力と結びつかない通貨が果たして人類史上初のもの、なのかどうかについては実は留保しなければならない。通貨の原初形態って、案外こういうものだったのかも、なんてことを考えながら読んでいた。
もともとフリーだったものがいつの間にか国家や権力に取り込まれた、というのもあり得る話だし、暗号資産も同じような道をたどるかも知れない。また、信用元を探る無限遡及の先として発明されたのが、「神」だったりして、などとも。ディジタル神はもう観念として実在しているのかも。この辺、半分以上冗談だが。以上。(2019/02/02)