森博嗣著『オメガ城の惨劇 SAIKAWA Sohei's Last Case』講談社ノベルス、2022.10

工学博士である森博嗣による長編ミステリ。何故か単行本と新書という2種類のフォーマットで同時刊行された。結構分厚くて、400頁超。初出は『メフィスト』vol.1〜5であるそうなのだが、一体どの版?カヴァの装画はKouchillが担当している。
とある孤島に立つオメガ城。ここに6人の天才たちと一人の記者が招待される。その一人は、サイカワ・ソウヘイ。1日に1便しかない船で渡るほかはない絶海の孤島に7人がはせ参じた理由は、招待状に「マガタ・シキ」の名が描かれていたからである。そんな閉じた空間で、やがて惨劇の幕が開くのだが…、というお話。
Gシリーズの最終巻は『ωの悲劇』というタイトルになるはずなのだが、これってまさか、と考えた人は多いのではないかと思う。公式サイトでシリーズ外、になっていることも一応確認した。
それは兎も角、何となく聞いたことの人名その他が出てくるので、完全にシリーズ外、という訳でもない。ミステリとしてはとてもきちんとしていて、ちゃんとオチもある。別段メタな読み方を駆使しなくても普通に楽しめると思う。以上。(2022/11/02)