京極夏彦著『鵼(ぬえ)の碑(いしぶみ)』講談社ノベルス、2023.09
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北海道生まれの作家・京極夏彦による「百鬼夜行シリーズ」の実に17年ぶりとなる書下ろし長編。単行本と新書の2フォーマットでの刊行となった。カヴァのイラストは石黒亜矢子が担当している。
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舞台は日光周辺。日光榎木津ホテルに逗留している劇作家・久住加壽夫(くずみ・かずお)は、能楽の『鵼』を題材とした台本を執筆中。同ホテルのメイド・桜田登和子が落ち込み気味なところを問いただすと、どうやら自分は幼少期に父を殺している、と告白される。久住は、ふと知り合った関口巽(せきぐち たつみ)と佐和子の秘密について調べ始めるのだが…、というお話
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JIS第3水準の漢字をタイトルに使われているので、端末によってはこの記事はちゃんと読めないかも知れない。HTMLファイル上だとUnicodeの16進数なので、なんか座りが悪い…。
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そんな話はどうでも良いのだが、さすがにあの震災の後では出版しにくかったのだろうな、と思う。それを知っているせいで、話の根幹部分が分かってしまうのも刊行を遅らせた理由になるのかも知れない。コロナを経た今日でもさすがに忘れられないのだが…。まあ、相変わらずのなんとも重層的な物語にはさすがに感服した次第。
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物語自体は実のところ他シリーズと同じ構成なのだが、両者は繋がっているのでこれはこれで良いと思う。要するに、合流、という感じ。次作の一日も早い刊行を待ちたい。以上。(2023/10/01)