Frank Miller&Robert Rodriguez+Quentin Tarantino(特別ゲスト)監督作品 Sin City 2006.06(2005)
フランク・ミラー(Frank Miller)のコミックを、基本的にはロバート・ロドリゲス(Robert Rodriguez)が中心になって実写化をした作品。どう見ても作品全体の「雰囲気」に深くコミットしている気がするクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)は「1ドル」でゲスト監督として雇われたらしいのだが、その辺はあくまでも話題作りだろう。
中身は善悪のハッキリした単純明快なヴァイオレンス&サスペンスなのだけれど、原作が恐らくそれなりな分量であるため、登場人物はやたらと多く、プロットもやや錯綜気味。それでも良くまとめた、とは一応言えるのかも知れないが、まあこのくらいは出来て当然のレヴェルだと思う。
ブルース・ウィリス(Bruce Willis)、クライヴ・オーウェン(Clive Owen)、ベニチオ・デル・トロ(Benicio Del Toro)、イライジャ・ウッド(Elijah Wood)、ジェシカ・アルバ(Jessica Alba)、ロザリオ・ドーソン(Rosario Dawson)等、何とも豪華な顔ぶれの配役陣による演技も見所だけれど、それよりも特筆すべきはこの映画の画面構成で、原作の雰囲気を醸し出すべく、コントラストをくっきりさせたモノクロームを基調とするディジタル映像に、部分部分着色するという技法が用いられているのだが、これはなかなか良いアイディアだと思う。
それは兎も角として、実のところ賛否がくっきり分かれそうな作品なのだが(私としては否。ただし、こういうものが好きな人にはたまらない作品だということは良く理解できる。)、要するに、インテリジェンスのかけらも感じられない、余りにも類型的な人物造形と通り一遍な物語構成にはやや辟易した。まあ、基本的にそういうものである「アメコミ」にこれ以上を求めても仕方ないのかも知れないけれど。以上。(2006/09/12)