Christopher Nolan監督作品 『TENET』
英国出身の映画作家であるクリストファー・ノーランによる最新長編SF映画。今作でノーランは監督・脚本・製作を担当。コロナ禍による上映延期を経ての公開だったが、映画に飢えている我々の熱い支持もあり、日本ではかなりのヒットとなっている模様。主演はジョン・デヴィッド・ワシントン(John David Washington)。デンゼル・ワシントン(Denzel Washington)の息子である。
キエフのオペラハウスで、プルトニウムを奪ったスパイを暗殺するための偽装テロが発生。CIA工作員である主人公(ワシントン)はこれに参加しスパイを確保するもののロシア人たちに捕らえられる。
拷問の末、自決用の薬を飲んだ主人公は、やがてとある船上で目を覚ます。そして、これまでのことが、彼を試す適正テストだったことを告げられる。
彼をスカウトした集団=「TENET」の目的は、未来から送られてきた時間逆行装置=「アルゴリズム」を見つけ出し、世界の破滅を止めることにあった。果たして主人公は、彼らと共にこの世界を救うことができるのか、というお話。
2時間半ほどの映画だけれど、テンポ良く進むので全く飽きない。というか、テンポが速すぎる気もしたのだが…。時間逆行の話、というのは頭の方でしっかり説明されるので、そこからは兎に角これから起こることは一通り覚えておかないと、後で訳が分からなくなるぞ、と思いながら観ていた。まあ、正直な話、これはかなり頭脳を酷使するタイプの映画ではある。
思い付いてしまったことを、それがどれだけ実現困難に思えようともちゃんと筋道だった映像作品にする、というようなノーランの実行力というのは、デビュー直後位から、この人凄いな、と思って注目してきたけれど、とうとうここまで来たか、という印象。それにしても、今回役者たちは本当に大変だっただろうな、と…。
やや蛇足ながら書いておくと、確かに分かり難い映画かも知れないが、その場合は何度も観なおして欲しい、と思う。出来たらメモでも取りながら。そうすることで、これが物凄く論理的に作られた作品だということが、きっと分かってくるはずなので。以上。(2020/10/01)