Susan Stroman監督作品 The Producers 2006.10(2005)
前から気になっていたものだけれど、ようやく鑑賞。1968年に作られたコメディ映画作家メル・ブルックス(Mel Brooks)の記念すべき映画監督デビュウ作を元にした、2001年から2007年にかけてブロードウェイでロングランが続いたミュージカルを映画化した、ある意味復刻版的な映画ということになる。ミュージカル版はトニー賞12部門制覇という快挙を成し遂げたのは良く知られた事実。監督をしているのはスーザン・ストローマン(Susan Stroman)という人なのだけれど、この人基本的に振付け師である女性はミュージカル版では演出を担当していたということも付け加えておかねばなるまい。
中身はメタ・ミュージカルと言って良いもので、ネイサン・レイン(Nathan Lane)が演じる売れないミュージカル・プロデューサのマックス・ビアリストック(Max Bialystock)が、会計士として派遣されたマシュー・ブロデリック(Matthew Broderick)が演じるレオ・ブルーム(Leo Bloom)が発見した「舞台をわざとコケさせれば儲かる」という手口を利用しての金儲けを企み、レオと共同で史上最低の脚本と最低の演出家による新作の上演を画策、それによって起こる様々な騒動をドタバタ喜劇として描く。
まあ、兎に角アイディアが素晴らしい。中身については触れないが、最低の脚本のその最低ぶりには瞠目すること仕切り。良くもこんなことを、と言う気になる。確かにこれをあの戦争後さほど時間の経っていない1960年代のアメリカで上演したらコケるとかそういうレヴェルじゃなくてほとんど事件だろうなぁ、と。2001年のオープニング・キャストであった主演二人の見事な歌と踊り、それを支える個性派揃いの脇役達演技その他もこれまた見事なもので、これは大変な作品だと思うのである。黄金期のミュージカル映画へのオマージュになっている舞台演出も実に良く出来ている。
ちなみに、オリジナル・キャストというか、舞台俳優を主体とするキャスティングでは余りにも華がないと思ったのか、準主役としてユマ・サーマン(Uma Thurman。この人、母親がスウェーデン系というのが面白い。)を起用していて、これについては賛否両論あると思うのだけれど、それこそこの映画のプロデューサ的にはこういうものも入れておかないと意図に反してホントにコケてしまうかも、といったようなところがあったんじゃないかと思うのだ。個人的には、この人が出ていないとかなり地味な作品になっていたはず、と思うわけで、これはこれで成功ではないかと考えている。以上。(2008/02/13)