Richard Ashcroft These People
The Verveのフロント・パーソンであるリチャード・アシュクロフト(Richard Ashcroft)による、10年振り通算4枚目のソロ・アルバムである。ただし、2010年にはUnited Nations of Soundというこの人のソロ・プロジェクト・アルバムが別名義で出ていたので、6年振り5枚目、と考えて良いだろう。 プロデュースは本人と、The Verveからの盟友クリス・ポッター(Chris Potter)。さて、その中身は。凝りに凝った楽曲づくりと粘っこいヴォーカルは健在。そしてなんと言っても特徴的なのはストリングスの多用、シンセ・ポップへの傾斜、という、かの超傑作Urban Hymns(1997)を彷彿とさせるサウンド・スタイルへの回帰、である。クリス・ポッターもあのアルバムに参加していたわけだが、今回のストリングス編曲はやはりあの作品に参加していたウィル・マローン(Wil Malone)が行なっている。約20年を経て、一周してきたか、と感慨仕切り。楽曲について簡単に記すと、Urban Hymnsぽさが満開な感じの第2曲”This Is How It Feels”、ケツメイシみたいなシングル・カットの第4曲”Hold on”などが耳に残った次第。静かにリリースされた、さりとて決して捨て置くことはできない快作である。以上。(2016/06/25)