Kenneth Branagh監督作品 『マイティ・ソー』
何故かケネス・ブラナーが監督をしてしまったハリウッドの娯楽超大作映画である。『マイティ・ソー』あるいは『マイティ・ソー』が、元々はスタン・リー、ラリー・リーバー、ジャック・カービーが生み出したマーベル・コミックを版元とするアメコミであることは周知の通り。1962年に初登場なのでかれこれ誕生から50年。しかもまだ第3期、という形で連載継続中、とのこと。そんな作品の、満を持しての初実写版がここに登場、ということに相成る。
キャストが凄い。主演のソー役には『スター・トレック』(2009)でカーク父を演じて話題となり今や伸び盛りの俳優クリス・ヘムズワース(Chris Hemsworth)を起用。その父・オーディンには何とアンソニー・ホプキンス(Sir Philip Anthony Hopkins。称号がまぶしい。)を、そしてヒロインであるジェーン・フォスター役にはナタリー・ポートマン(Natalie Portman)を、更にはソーの部下の一人ホーガンには浅野忠信を起用、といった具合。何なんだこれは…、という感じ。
物語は基本的に北欧神話をベースにしている。「ソー」の綴りはThorなので、北欧語読みだと「トール」となる。要するに雷神。かねてからの宿敵同士であるソーやオーディンを含むアスガルド人とフロスト・ジャイアントの対立が高まる中、フロスト・ジャイアント等により王位継承式を妨害されたソーとその部下たちは彼等の住むヨトゥンヘイムへと赴き、売られたけんかを買おうとする。それに腹を立てたオーディンはソーから「力」を取り上げて地球に追放する。
地球に落ちてきた彼を拾ったのは異星人とのコンタクトを願ってやまないと覚しき天体物理学者のジェーン・フォスターとその仲間たち。しかし、地球の秘密防衛組織らしきS.H.I.E.L.D.にソーの身柄、あるいは観測用機材から記録から何からといった一切合切を取り上げられてしまう。
そんな中、アスガルドではソーの弟であるロキ(トム・ヒドルストン=Tom Hiddleston)が王位を簒奪し、フロスト・ジャイアントとの最終決戦を目論んでいた。果たしてソーの運命は、そしてまたアスガルドとフロスト・ジャイアントとの戦争は回避できるのか?、というお話。
こうして要約してみると、案外複雑な話なんだな、と思う。ただ、コミックを読んでいないと分からない、ということは全然無くて、正直予備知識は全くなかった私でもすんなりと話に入っていくことが出来た。逆に、特に終盤に至って、やや話が見えてしまう、というか、ひねりが足りないのが残念で、もう一ひねりあったらかなりの良品になっていたことだろう。なお、北欧に属するスウェーデンの俳優ステラン・スカルスガルド(Stellan Skarsgårdがポートマンの師匠役で非常に良い味を出していることもちょっと述べておきたい。
さてさて、ラストに特典映像があってそれは要するに続編の宣伝みたいなものなのだが、要するにこの作品はマーベル・スタジオズが制作する2012年公開の映画『ジ・アベンジャーズ』に接続され、更にはウォルト・ディズニー・ピクチャーズが制作し2013年に公開される『ソー2』(決してSaw 2ではありませんよ。)へと継続されるらしい。『ジ・アベンジャーズ』というのが何なのかについて詳しくははWikipediaなどをご覧頂きたいが、要するに日本で言うところの『ジャンプ・スーパー・スターズ』とか『ジャンプ・アルティメット・スターズ』みたいなものです。もっと分からんって?以上。(2011/07/29)