Michael Bay監督作品 『トランスフォーマー:ダークサイド・ムーン』
2007年に第1作が公開されたロボット・アクション・シリーズの第3作。今回は時代に合わせて3D版も上映されたのだが、3D版を観ることはこの作品の制作意図を考えると非常に正しいと思う。ちなみに原題はTransformers : Dark of the Moon。「ダークサイド」なんて一言も言っていないのだが、映画の中でPink Floydの最高傑作The Dark Side Of The Moonへの言及があり、そういうことを基本的に意味していると解釈できる。ちなみに恩田陸の小説は全く無関係。
予告編でも語られていたように、1960年代の米ソによる宇宙開発競争が物語の発端をなす。それは実は、月の裏側に不時着したトランスフォーマーの宇宙船を巡って繰り広げられたものだったのだ。そして時は21世紀。地球侵略を目指す悪のトランスフォーマー軍団ディセプティコンに対抗すべくして締結された、人類と善のトランスフォーマー軍団オートボットの同盟関係は次第に強固なものになりつつあった。
そんな折、ディセプティコンが再び暗躍を始める。その裏に月の宇宙船に搭載されていた、とある兵器が関わることを知ったアメリカ政府は、オートボットのリーダー・オプティマスにその事実を告げるのだが、それは同盟締結の条件として掲げられていた、全ての情報の開示に背く行為だった。同盟関係が揺らぐ中、恐るべき敵が襲来し、人類とオートボットを襲う。人類に未来はあるのか、トランスフォーマー達の戦争の行方は、という物語。
起伏に富んだストーリィ、全編に満載の出来の極めて良いアクション・シーン、20世紀から21世紀までの様々な出来事を取り込んだ壮大なコンセプト等々、非常に良く出来たエンターテインメント作品に仕上がっていると思う。正直、こういう映画にこれ以上何を望むのか、というくらいの出来具合。お金もかかっただろうけれど、スタッフ陣の能力とその働きっぷりには誠に頭が下がる。
極めて見所の多い本作だけれど、個人的にはキャスティングの妙に目を見張った次第。主人公サム(シャイア・ラブーフ=Shia LaBeouf)の上司役に何とジョン・マルコヴィッチ(John Malkovich)を、そして米国家情報長官役にフランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)をそれぞれ起用。第1作から出ているジョン・タトゥーロ(John Turturro)と合わせて、何だかコーエン映画みたいな布陣。あらゆる点でハリウッド・メジャー映画なのに、何だかインディペンデント系なテイストも併せ持っていて、その辺が非常に楽しかった。以上。(2011/10/05)