Travis Knight監督作品 Bumblebee 2018
全米では昨年末に公開されたトランスフォーマー劇場版第6作である。邦題は『バンブルビー』。「トランスフォーマー」の語がとれたが、一応シリーズもの。ただし、リブート、という扱いらしい。監督にはナイキ創業者の息子であるトラヴィス・ナイト(Travis Knight)が起用された。ここまで監督をしてきたマイケル・ベイ(Michael Bay)はスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)と共に製作としてクレジットされている。
時は1980年代。遊園地でバイトする高校生のチャーリー・ワトソン(ヘイリー・スタインフェルド Hailee Steinfeld)は、出入りしているボート修理工場から18歳の誕生日プレゼントとしてボロボロのフォルクス・ワーゲン・ビートルを譲り受ける。
このビートル、実はディセプティコンの攻撃を辛くも逃げ切ったバンブルビーが擬態したものだった。やがてその事実を知るチャーリー。はぐくまれていく二人の友情、はたまたそれを阻むかのようなディセプティコンの襲撃。二人の行方には何が待ち受けているのか…、というお話。
誠に素晴らしい作品。これまでの壮大なテーマを持つ超大作主義から一転して、基本的にはかなりコンパクトなコメディ作品を目指したものになっており、それが大成功を収めている。とりわけ、1980年代のニューウェーヴを中心とする音楽が大フィーチュアされ、それらが発声器官を失ったバンブルビーの「言葉」になるのだけれど、この辺りの演出が見事。
更には、技術の進化によりバトル・シーンはさらに洗練され、世界の存亡を賭けた壮大なお話と、いじめあり恋ありの学園ドラマとのバランスも絶妙で、本当に、映画らしい映画、という感じ。
そんなこんなで、多分一番人気の高いトランスフォーマーであるバンブルビーが遂に主役となった、シリーズの転換点にして、シリーズを全く知らない、あるいは興味のなかった方々にも是非観て欲しいと思う、ハイ・クオリティな青春と友情の物語に仕上がっている。以上。(2019/09/01)