Björk Vulnicura
アイスランド出身の超個性派シンガーであるビョーク(Björk)による、実に4年半ぶりのオリジナル・アルバムである。ジャケットは武田麻衣子という日本人デザイナーによる「ヘッドピース」を着用した図なのだが、実にアーティスティック。相変わらずのファッション・リーダーっぷりを発揮している。今年の3月くらいにニューヨークの近代美術館(MoMA)でこの人の回顧展をやったらしいが、行きたかったな、日本でもやらんかな、などと独り言。さて、肝心の中身は、というとロックとかダンス・ミュージックの要素はほとんど皆無で、基本的にアンビエントなテイストのヴォーカル・アルバムとなっている。全体的にストリングスをこれでもか、というくらい過剰に盛った感じの仕上がりで、要するに1990年代にやっていたことの一部(個人的には最良の部分だと思う。)を取り出してより徹底化を図った、というようにも見える。全体として方向性が一貫しているし、個々の楽曲の完成度は高いし、ヴォーカルは相変わらず素晴らしいの一言だし、という具合で、やはりこの人(と周囲のスタッフ)すごいな、と改めて思う次第。聴きどころはやはり、MoMAでの回顧展でもこの曲をモティーフとするインスタレーションが展示されたという4."Black Lake"及び、Antony Hegartyをフィーチュアした7."Atom Dance"、の2曲になるだろうか。個人的には7から9までの3曲がお気に入り。ただ、アルバムのまとまりが非常に良いので、できれば頭からすべてを聴くことをお勧めする。以上。(2015/05/22)