The Chemical Brothers We Are The Night
この欄では常連である、マンチェスタ大学の同窓生トム・ローランズ(Tom Rowlands)とエド・シモンズ(Ed Simons)の二人組テクノ・ユニットの2年振り7枚目となるオリジナル・フル・アルバム。今回は四つ打ちを基調としつつ、ベース・ラインを強調せず、ロック色を含みながらもどちらかというとエレクトロニック・ポップな志向性が強い、というスタイルがとられていて、この辺からは原点回帰しつつそれでも既にやったことはしない、という強い意志の存在を感じることが出来ると思う。実は、全体として何となくのどかな雰囲気も漂っていて、この辺りに新しさを感じた次第である。基本的に数あるテクノ・ユニットの中でもヴォーカルを多用した楽曲が多いのが彼らの特徴だと思っているのだけれど、今回もそれは踏襲されていて、ソウル系の歌手達とのコラボレーションがとても良い味を出している。ちなみに、購入するかどうか迷うことがあれば、例えばアリ・ラヴ(Ali Love)という人をヴォーカリストとした迎えた、このアルバムの特徴を集約したような5曲目のシングル・カット曲"Do It Again"(ちなみにSteely Danの名曲とは無関係。)を例えばMySpaceなどに置かれているサンプル音源で聞かれると良いと思う。最後になるが、ラストの12曲目に入っているティム・スミス(Tim Smith)という人をヴォーカルとして起用した"The Pills Won't Help You Now"という曲が何とも美しい。以上。(2007/08/13)