ORBITAL Wonky
1990年代にはテクノ四天王の一角としてクラブ・シーンに君臨し、2004年のBlue Albumリリース後事実上活動を停止していたポール&フィル・ハートノル(Paul&Phil Hartnoll)兄弟による英国のテクノ・ユニット=Orbitalによる、実に8年ぶりとなるオリジナル・アルバムである。先行シングルの'Never'などに顕著にその特徴が出ているけれど、彼等のサウンド・スタイルというのは基本的に静かで美しいテクノ、なのだと思う。ポップにしてメランコリック、叙情的にして繊細。そんな彼等が、再び何かを始めた、というような、未来に延びる線がサウンドの隙間隙間に垣間見える、そんな無限の可能性を感じさせる作品になっていると思う。ゾラ・ジーザス(Zola Jesus)をフィーチュアした'New France'、レディー・レシュール(Lady Leshurr)をフィーチュアしたタイトル・トラック'Wonky'などなど、実に多様なスタイルの音源を織り交ぜた全9曲。誰もが待ち望んだ、そして8年待ったかいのある、名に違わぬ傑作だと思う。(2012/5/20)