Danny Boyle監督作品 『Yesterday』
英国の映画作家であるダニー・ボイルによる長編コメディ映画。主演はこの映画が銀幕デビューとなるヒメーシュ・パテル(Himesh Patel)。他に、本人役でエド・シーラン(Ed Sheeran)が出演。タイトルの通り、ザ・ビートルズ(The Beatles)への愛に溢れた、そしてまた単にそれだけではない素晴らしい作品、である。
英国の片田舎にすむ青年ジャック(パテル)は、シンガー・ソングライターを目指す傍らアルバイト暮らし。そんなある日、ジャックはバスに轢かれて昏睡状態に陥ってしまう。退院後、ジャックは快気祝いの席で仲間たちに「イエスタデイ」を歌う。しかし、「良い曲ね、でも一体誰の?」という反応。
どうやら、この世界にはザ・ビートルズが存在しないらしい。ジャックは誰も知らないザ・ビートルズの名曲群を必死で思い出し、スターダムにのし上がろうとするが、果たして、というお話。
トラックに轢かれるのでないところが面白かったのだが、要するに異世界転生もの、である。いつの間にか世界的なムーヴメントになっているのかも知れないが、まあ、そこはそれ。
意外に使われてなかったワン・アイディアで、音楽から人生までといったようにこの世のすべてを語りつくすかのような作品を生み出したこの映画の作り手たちは、本当に凄い仕事を成し遂げた、と思う。鬼才と呼ぶにふさわしいダニー・ボイルの新たな代表作にして、2010年代の掉尾を飾る傑作である。以上。(2019/11/05)