2011年7月アーカイブ

私設サイトの映画紹介欄に、英国の名優ケネス・ブラナーが何故か監督してしまったハリウッド映画『マイティ・ソー』を追加しています。

ケネス・ブラナーが監督なんですが、実際のところ、あんまり作家性のある作品にはなっていません。でもこの基本的にシェークスピア俳優である英国人監督が、やはり英国人のアンソニー・ホプキンスという名優を使ってアクション超大作、ってのは何かワクワクしませんか?それで観に行ったんですけどね。ちょっと残念だったかも。

アメコミ・ベースのこの作品、北欧神話がベースになっていて、結構普通のスペース・オペラであり、かつまたいかにもマーベル・コミックという感じのヒーローモノでもあります。続きは『ジ・アベンジャーズ』で観られそうで、更には『ソー2』も用意されているらしいですね。マーベル恐るべしです。

ちなみに、日本での興行は、余り芳しくなかったかも知れませんね。時期が悪い、そしてまた他のヒーローに比べて格段に知名度が低い、というのはやはり致命的かな?こういう時ではなく、むしろ落ち着いた季節に、じっくり味わうべき作品なのかも知れません。

最後に一言。エンディング・テーマはフー・ファイターズ。カッコいいったらありゃしないですね。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、都築道夫(1929-2003)による唯一のSF短編集『宇宙大密室』再刊版を追加しています。

オリジナルは1974年刊ですが、本書は色々なテクストが付け加えられた、いわば完全版です。東京創元社さん、ありがとう、という感じですね。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、京極夏彦による『嗤う伊右衛門』、『覗き小平次』に続く新釈江戸怪談シリーズ第3弾『数えずの井戸』を追加しています。刊行は2010年1月。

もとになっているのは勿論「番町皿屋敷」、です。良く知られた怪談ですが、様々なヴァージョンがあるわけです。それを京極氏は独自の視点で、自分が作り上げたキャラも登場させつつ、再構成していきます。見事、としか言いようのない作品ですね。

次は何を取り上げるのか、今から楽しみです。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、乾くるみによる短編集『カラット探偵事務所の事件簿 1』文庫版を追加しています。2006年から『文蔵』に掲載されていた短編をまとめたもので、オリジナルは2008年刊の単行本です。

技巧に富んだ6作品が収められています。パズル、暗号、トリック満載。謎解き専門であるカラット探偵事務所がどんな事件を解決していくのか、とくとご覧下さい。

なお、本書は『1』になってますので、当然近いうちに『2』が出るはずです。巻末にも紹介されていますが、既にPHP刊の雑誌『文蔵』には3本ほど、season2の作品が掲載されている模様です。是非チェックしてみて下さい。

と、云う事で。

昨日(7/24)になりますが、「Music Crossroad 合唱仲間とミュージシャンたちによる小さなコーラスサマーフェスタ」と題されたコンサートを聴きに、五反田まで出向いて参りました。会場は五反田文化センターの音楽ホール。230ほどのキャパで、非常にキレイ。音響も悪くないと思いました。ただ、駅から若干遠いのが会場選びの場面で問題になりそうですね。

このイヴェント、栗友会でいつも一緒に歌っている仲間が音楽指導をしている合唱団4団体と、ジャズトリオという5団体が出演しました。どの団体も結成から間もなくて、幾つかの団は初コンサート、なのだそうです。心臓バクバクですね(笑)。良く知っているポピュラーな曲が多い中で、一筋縄ではいかないアレンジのものや、かなりコアな曲も含まれておりまして、ヴァラエティに富んだ、非常に愉しめるコンサートでした。以下、簡単な感想を団体ごとに。

Yellow Sox:武蔵野の女声合唱団です。メンデルスゾーンのモテット2曲、三善晃の「麦藁帽子」、アンジェラ・アキの「手紙」など6曲。曲のヴァリエーションが凄いですね。声量がない、というのは確かにあるのですが、ひたむきさがすばらしく、音楽する楽しさを伝えてくれる演奏だったと思います。

幕張ジュニアコーラス:圧倒的なインパクトでした(笑)。10名ほどのコーラスで、3歳から10歳位、ですから平均年齢は6-7歳、でしょうか。いやー、驚きました。2曲目が「ライオンとお茶を」、ですからね。谷川雁です。新実徳英です。詩の意味全然分かんないでしょうね(笑)。もう2曲、「この広い野原いっぱい」「きみとぼくの間に」も良かったですね。見事な指導力だと思いました。

音の葉:混声合唱団です。やや男声不足なのが気になったのですが、難曲からポピュラーな曲まで、じっくりと聴かせて頂きました。中でも、初めて聴いたスロヴェニアのA.チョピの曲が面白かったですね。ちょっとKen-Pぽくて、ESTあたりでやらないかな、などと思ってしまいました。林光、信長貴富の2曲「明日ともなれば」「君歌えよ」はやっぱり良いですね。休憩後のジャズトリオとのコラボも、活気があり、イヴェント全体にメリハリを与えていてとても良かったです。そうなんですよね。このコンサート、選曲ですとか、演奏形態に非常に工夫が凝らされてまして、この団の演奏などがそれを端的に表わしていたのではないか、と思います。

Rhythm & Voice:ゴスペルグループです。もう、歌いたくて仕方がない人たちですね。全身からそれがにじみだしている、と。基本的にノリノリの楽曲群ですが、その中には"An Irish Blessing"という名曲も含まれておりました。ここでもジャズトリオが演奏に参加して、本当ににぎやかで華やかな舞台になっていたと思います。

chie's trio:ジャズトリオです。ピアノの佐竹千絵さんという方の名前をとっているわけですね。今回は特別にオリジナル曲を2曲演奏していました。いやー、ピアノって楽しいですね。

以上です。盛りだくさん、でしたが、そもそもそれこそがこの企画の狙いなはず。形式にとらわれない、音楽の多様な形、様々な可能性、とでもいうべきものを見せて頂きました。来年は更なる発展形を見てみたい、と思います。木場君がんばってね(笑)。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、桜庭一樹による<GOSICK>シリーズの第4短編集『冬のサクリファイス』を追加しています。

ちょっとドキッとするタイトルですが、間もなく完結を迎える物語の行方をそれとなく表わしているのかも知れません。

中に含まれる4本の短編は『小説 野生時代』に連載されていたものです。最初が2011年1月号。しばらく中断していた物語は、ここから再スタートしたわけです。そんな、重要な意味を持つ作品集、完結巻VIII(上・下)の前に是非お読み下さい。

と、云う事で。

7/16(土)、18(月)の二日にわたり、新日フィルの第480回定演に出演しました。場所はすみだトリフォニーホール、曲はR.ワグナーの『トリスタンとイゾルデ』、です。

コンサート・オペラ形式です。なので舞台装置や衣装といったものは基本的にありません。中央に大きなスクリーンが置かれてまして、そこに物語の場面背景を表わすような映像と字幕が映し出されてました。

我々男声合唱部隊の出番は第1幕のみ。舞台袖で歌い、その後バルコニーに移動。60人ほどしかおりませんので、巨大なオケに対抗するのはかなり大変。でも、極力声を飛ばすことに心がけました。客席ではどう聞こえていたのでしょうね。

二日目は出演後に客席に入りまして(当然チケットは買ってありました。)、2幕目、3幕目を聴くことが出来ました。C.アルミンクの流麗な指揮の下、豪華なソリスト陣と、充分にリハーサルを積んだオケが見事な演奏を繰り広げていました。

この定演、4月の『薔薇の騎士』と並ぶ今年の目玉、と思っていたのですが、そっちを震災の影響か何かでアルミンクがキャンセルしてしまったということもあり、期待は大きかったのでしょう。両日とも満席、でした。

しかし、偉大な作品ですね。改めてそのスケールの大きさに驚かされました。

と、云う事で。

一昨日(7/17)になりますが、合唱団ひぐらしの第18回定期演奏会『いろはのそ』に行って参りました。場所は杉並公会堂大ホール。キレイなホールですね。外は物凄い暑さでしたが、節電のためか冷房が適度に抑制されていたのが嬉しかったです。何だか知らないけどお腹が変だったし。色んなところが寒すぎるのが原因な気がしています。

さてさて、以下に簡単な感想などを書き残しておきます。

1. 松本望 むすばれるものたち
最初の2ステージは清水昭氏の指揮です。大学の先輩になります。別に音大じゃないのだけど、オケも含めてさりげなく指揮者やってる方多いです(笑)。それは兎も角、この曲はピアノ+混声合唱によります。谷川俊太郎の詩による3曲からなりますが、安定感のある丁寧な演奏だったと思います。

2. 三善晃 三つの海の歌
2ステージ目は三善晃によるアカペラ曲。初演は1974年。ちょっとおかしな感じの詩を、三善晃特有のややアクロバティックなアレンジで合唱曲化したもの。高い演奏技術が要求される楽曲ですが、見事に楽譜をトレースしていたと思います。

3. G.フォーレ レクイエム Op.48 1893年版
休憩を挟んで、この日のメイン・イヴェントであるはずのフォーレ・レクイエムです。指揮は野本立人氏。ご存じの通り1900年版と言われる第3稿の演奏機会が最も多いわけですが、今回用いられたのは第2稿である1893年版。オーケストラの編成がヴィオラ、チェロ、コントラバス、独奏ヴァイオリン(ごく一部のみ)、ハープ、ティンパニ、オルガン、ホルン、トランペット、トロンボーンと小規模なところが特徴です。逆に言えば、アマチュア合唱団の定演でオケものをやる場合、この規模じゃないと厳しい、とも思います。

オケは東京バッハ・カンタータ・アンサンブル。ソプラノ独唱が西由起子さんでバリトン独唱が福島明也さん、でした。

オケ・ソリストといったプロの皆さんが本当に良い仕事をする中、ひぐらし+αで構成された合唱団については野本氏の指導の下で入念に仕上げた、という感じの演奏だったと思います。編成が小さい分、細部が非常に良く聞えまして、改めてこの曲の良さを再認識し、そしてまたフォーレが込めた意図を十二分に感じ取ることが出来ました。

以上です。皆様暑い中ご苦労様でした、そしてありがとうございました。。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、長谷川喜美『英国王室御用達 知られざるロイヤルワラントの世界』を追加しています。

著者は、結構昔からの知り合いです。「今度本出すんでよろしく」、っていうので驚いたのですが、へー、こんなことをやっていたのかー、と感動しました。

中身についてですが、よくあるムックのようなものではなく、非常に硬質な、基本的にかなり骨っぽい書物になってます。英国文化の本質に迫ってやるぞー、というような気迫が文章の端々に感じられて、その点でも感銘を受けました。

今後の活動にも期待しています。次はアイルランドとかやってくれません(笑)?

と、云う事で。

私設サイトの映画紹介欄に、ダニー・ボイルによるアカデミー賞6部門ノミネートの傑作『127時間』、を追加しています。

アーロン・ラルストンという登山家が峡谷でのハイキング中に滑落してきた岩に右手を挟まれ、身動き出来なくなってしまう、という実話に基づいたお話です。原作が自伝、という形で出ていますので、生還していることは分かっちゃってるんですが、兎に角映像と音楽に引き込まれること請け合いな映画です。

前作『スラムドッグ$ミリオネア』はマサラ・ムーヴィ的な、要するになんでもありな複雑さを持っていたわけですが、今回はシンプルというよりは殆どミニマルと言っても良い作風かも知れません。ほんのちょっとガス・ヴァン・サント風。誠に懐の深い映画作家だと思います。

と、云う事で。

今週末になりますが、新日本フィル第480回定期演奏会に出演します。詳細は下記の通り。

    新日本フィル第480回定期演奏会 - 音楽の辿り着く処、「トリスタンとイゾルデ」
    
    演目:R.ワーグナー:楽劇トリスタンとイゾルデ コンサート/オペラ

    指揮:クリスティアン・アルミンク

    日時:7/16(土)14:00開演、7/18(月・祝)14:00開演

    会場:すみだトリフォニーホール
    
    詳細:新日本フィル第480回定演

私が加わるのは、第1幕で、男声合唱部隊です。歌う部分は少ないとは言え、オケの物量が凄まじいため、相当な声量と瞬発力、そして何よりも正しい発音が要求されます。何事も精進、そして集中ですね。

チケットはかなり売れている模様。上の公式サイトを見て頂きたいのですが、何せ豪華キャストですから。個人的には、今年のクラシック界における目玉公演の一つと考えています。

と、云う事で。

昨日(7/8)になりますが、勝鬨の第一生命ホールへと、女声合唱団九月の風、荒川女声合唱団、アカシアコーラスという3団体合同による、「一日おくれの七夕コンサート」を聴きに出向いて参りました。

さてさて、まず最初に言っておきたいのは、配布されたプログラムが素晴らしくてですね、とりわけ解説や歌詞などが非常に見やすい、のですよ。案外こういうのって大事ですよね。このコンサート、準備に多大な時間を掛けていることは何となく知ってましたが、そういうのはこの辺にも現われてますね。スタッフの皆様ご苦労様でした。

以下、ステージ毎に大まかな感想などを。

1.九月の風:演目はなかにしあかねの『今日もひとつ』でした。いかにも女声合唱曲、という楽曲です。栗山先生による絶妙極まりない指揮の下、個性豊かなメンバ達が豊潤で濃厚な演奏を繰り広げていたように思いました。

2.荒川女声:こちらは第1ステージとは打って変わって童声合唱曲の色合いが濃い寺嶋陸也『月夜の木馬』、でした。野本先生指揮による非常に素直でスッキリとした演奏で、気持ち良かったです。声量がないけれど、あのホールなら問題ないですね。暗譜、というのにも感動しました。最高齢82歳とかいう話が...。

3.アカシア:信長貴富『赤い鳥小鳥』。やや難しくもあり、そしてまた非常に優れた楽曲だと思います。前の2団体に比べてやや小振りですが、藤井先生によって鍛えられたアンサンブル力には見事なものがありますね。北原白秋の繊細な世界を見事に表現しているように思いました。

これで前半終了。

4-6:後半は合同演奏です。80人くらいでしょうか。小振りなホールですから、びっちりです。そして、後半も同じくらいの長さです。

曲目は、寺嶋陸也『君に会ううれしさの』より9曲(栗山指揮)、新実徳英『ねむの木震ふ』より4曲(野本指揮)、信長貴富『近代日本名歌抄』より3曲(藤井指揮)。

『東京ブギウギ』でノリノリの栗山先生を見て、元気だなー、と思いつつ、さほど易しくはないはずの曲をこれまた暗譜の野本先生には、鬼だなー、と思いつつ、こっちも本当に素晴らしい信長作品を扱った藤井先生には、熱いなー、と思いつつ、約1時間ほどを本当に楽しく過ごさせて頂きました。

さてさて、このように非常に充実したコンサートを堪能させて貰ったわけですが、19時スタートで、終了時には21時半。全体として人生経験豊かな皆さんですので、大変だったのではないかと思いました。それでも、その後のレセプションにも皆さん結構いらしてましたね。いつまでもお元気なのは本当に素晴らしいこと。諸先輩方にはこれからも是非音楽を続けて欲しい、と思う次第です。

と、云う事で。

私設サイトの音楽CD紹介欄に、アヴリル・ラヴィーンによる通算4枚目のオリジナル・フル・アルバム『グッバイ・ララバイ』を追加しています。

ちょっとだけ期待したのですが、今ひとつな印象。前作とはガラッと変わってアコースティックな雰囲気が全編に漂っていてそこは良いんですが、1st、2ndのあの厳しさというか、険しい感じがない。全体として軽いんですね。良い曲が無いのも問題で、このアルバムからシングルカットみたいなことが果たして出来るんだろうか、と思ってしまいました。最初からシングルだった、おまけで付いてる「アリス」は別ですが。

と、云う事で。

私設サイトの音楽CD紹介欄に、フー・ファイターズによる通算7枚目のアルバム『ウェイスティング・ライト』を追加しています。

この人達、既にグラミー賞の最優秀ロック・アルバム賞を3回受賞、というとんでもないバンドですが、これで4回目は堅いんじゃないでしょうか。それはそれは完成度の高い作品です。今年最大の成果、だと思います。

と、云う事で。

昨日(7/6)になりますが、リコーディングのため、青山にある某スタジオに出向いて参りました。

今回はコーロ・カロスのみでのリコーディング。中身は教材用、です。その前日は女声合唱曲2曲が別の場所で録音され、この日は混声ピアノ付き3曲の録音でした。

毎回思うんですが、結構疲弊します。1曲平均1時間はかかりますしね。その割に余り達成感はない、というのが本音です。教材教材してる曲ですから、作りがちょっと音楽的じゃないのですよね。音楽的にしようとすると、居合わせた作曲家に「そこは普通にお願いします。」、とか言われてしまったりしますし。うーん、悲しいですね。仕事なのでしょうがないけど。

今後もこういう機会が年に2回くらいは来ると思いますが(去年は3回、かな)、良い曲に巡り会いたいですね。

と、云う事で。

私設サイトの音楽CD紹介欄に、ザ・ストロークス(The Strokes)による通算4枚目のアルバム『アングルズ』を追加しています。

アルバム出すのはなんと5年振り、なんですね。へえ、もうそんなになるんだ、と驚きました。なにげにこの5年間って、個人的には物凄い期間でしたし。

それは兎も角、中身について。ちょっと電子音が混ざってきてますが、基本形は変わっていないと思います。良い曲も何曲かあります。

むしろ、変わっていないことが問題、なのかも知れません。その辺、難しいんですけどね。ごくごく個人的には、もっと別のことを色々やって欲しかったな、と思ったりします。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、三津田信三による「刀城言耶」シリーズ第4長編、『山魔(やまんま)の如き嗤(わら)うもの』講談社文庫版を追加しています。

2009年の本格ミステリ・ベスト10で堂々1位を獲得した作品です。このランキング、ネット上で調べて頂ければお分かりになると思うのですが各年の1位は誠に充実したラインナップ。本書もその名に恥じぬ大傑作です。

長大な手記から始まり、人間消失、童歌の見立て殺人、忌み山を巡る言い伝え等々といったアイテムを巧みに織り込んで、非常に完成度の高いミステリ作品に仕上げていると思います。是非ご一読の程。

と、云う事で。

私設サイトの音楽CD紹介欄に、RADIOHEADによる最新オリジナル・フル・アルバム『ザ・キング・オブ・リムス』を追加しています。

前作同様ダウンロードも出来たっぽいのですがCD買っちゃいました。まあ、前作を踏襲したサウンドです。ちょっと速めなリズムが特徴的、かな、と。トム・ヨークによるヴォーカル・アルバムな雰囲気も漂ってますね。一応押さえておくべきアイテムなのは間違いありません。

と、云う事で。

昨日になりますが、板倉康明率いる東京シンフォニエッタの、第29回定演を聴きに上野の東京文化会館小ホールまで足を運んで参りました。次回のコンサート鑑賞はちょっと先に、と下に書いてますが結局7/1になってしまいました。

さて、今回は、題して「室内オーケストラの領域III」。特集は組まれていませんが、前回の湯浅譲二特集に勝るとも劣らない集客。その湯浅特集で第10回佐治敬三賞を受賞したのも、集客に繋がっているのかも知れません。

プログラムは以下の通りです。

1. ヤイル・クラータク(Yair Klartag):双極性無秩序 室内アンサンブルのための(2009)世界初演

2. ベネット・カザブランカス(Benet Casablancas):ニュー・エピグラムズ 室内オーケストラのための(1997)日本初演

3. 猿谷紀郎(Toshiro Saruya):うけひ いま(2011)委嘱新作初演

休憩

4. 藤倉大(Dai Fujikura):ヴァニシング・ポイント アンサンブルのための(2004/2006)

5. 西村朗(Akira Nishimura):ピアノと室内オーケストラのための〈ヴィシュヌの臍(へそ)〉(2010)東京初演

最初のクラータク作品が第31回入野賞を受賞している関係で、頭にセレモニーが行なわれました。若干25歳位のクラータク氏に加え、湯浅譲二、松平頼暁という大御所が壇上に登り、挨拶。いやー、歴史を見てしまった、という感じです。曲自体は「躁鬱症」を表現しようとしたものである、とのことですが、様々なテクスチュアによって構成された、大変緻密かつインパクトのある作品だと思いました。

カザブランカスの曲は2楽章構成。管弦楽は10人にまで削られ、これにピアノが加わります。極めて激しい第1楽章に、ミステリアスな第2楽章。両者のコントラストが明瞭な楽曲になっていますが、この小編成オーケストラはその辺りを見事に表現していました。日本初演、というのが信じがたい良品だと思います。

3曲目の猿谷作品は前半の目玉、と言って良いでしょう。楽器の配置時間を利用して板倉氏と猿谷氏のトークが行なわれたのですが、要するに3/11という重い現実があって、そこで何をすべきか、どうすべきかを考えたのだそうです。結論として出てきた曲は「うけい」。現代語にすれば「祈り」あるいは「誓い」となるこの言葉を、複雑極まりない音の重なりによって表現しようとする意志を感じました。

休憩を挟んで4曲目。後半は、打楽器、ピアノが活躍します。やや活気のある曲が2曲。この辺りが、ちょっと前半とは異なりますね。

藤倉作品では打楽器奏者が弦楽器の弓を持って、ヴィブラホーンかなんかを弾くんですが、これがキュイーン、キュイーン、と鳴ってます。で、それに弦が絡む、と。そんなところからスタートします。でも弦にはミュートがかかっている、と。やがて弦楽器がピチカート奏法を開始し、打楽器群に立ち向かい始めます。そんな曲です(笑)。この曲、かなり面白いと思いました。タイトルも曲にピッタリですね。いやー、打楽器楽しそう!大変なんだろうけど(笑)。

ラストの西村作品は誠に見事な作品。全体を締めくくるに相応しい内容でした。始めにトーク・セッションがありまして、場内は爆笑の渦。楽曲もヒンドゥー神話を題材として、西村氏らしいコスモロジー、宇宙、生命、といったキーワードで埋め尽くされたような仕上がりで、非常に面白かったです。特に、コーラングレのリードのみで奏される部分が極めて印象的。ヒンドゥー神話に出てくる大蛇ナーガを表現しているのでしょう。3部構成ですが、基本的に標題音楽になっていて、ある意味大変分かりやすい楽曲です。ピアノを担当する藤原亜美さんの熱演振りも見事でした。

演奏会後、板倉氏自身、「現代曲の演奏会では珍しいことですが」、と断った上で、あの震災に対する回答、ということでアンコールが行なわれました。演奏されたのは、去年室内オーケストラ版が出た西村朗作「星の鏡」でしたが、この曲、全てを包み込むような、非常に柔らかく、暖かく、そして優しい、名品だと思いました。

以上、ご報告まで。

と、云う事で。