音楽の最近のブログ記事

私設サイトの書籍紹介欄に、浦賀和宏による2002年発表の長編小説『こわれもの』文庫版を追加しています。

文庫化に11年。今回はかなり良いセールスとなっている模様ですが、それにしてもこれだけの作品が何故、という気もします。本当に面白いです。

ちなみに、劇中作『スニヴィライゼイション』のタイトルはOrbitalの3rdアルバムからとられてますが、本体のタイトル『こわれもの』(=Fragile)はYesのかの有名な4thアルバムのタイトルからとられています。

と、云う事で。

去る8/3(土)、クリスティアン・アルミンク(Christian Arming)氏の新日フィル音楽監督としての最終公演を聴きに、すみだトリフォニーホールまで出向いてまいりました。以下、ごくごく簡単にリポートなどを。

ここ数年、ほぼ1年に1回くらいのペースでその公演に合唱団員として参加させていただいて参りましたアルミンク氏も、10年間にわたる新日フィル音楽監督の立場を離れる、ということになるわけです。

最後の公演に選んだ曲は、G.マーラーの『交響曲第3番』。アルト・ソロは一昨年の『トリスタンとイゾルデ』での歌唱が本当に鮮烈だった藤村実穂子さん、女声合唱に私も常日頃お世話になっております栗友会合唱団、児童合唱に東京少年少女合唱隊という陣容です。

何しろ長い曲ですが(100分くらい)、最後まで、と言いますか後ろに行くにしたがってどんどん集中度が高まっていくような、実に密度の濃い演奏だったと思います。藤村さんの歌唱はやはり素晴らしいものでしたし、特に、誠に美しい6楽章の、何とも精緻な編み上げぶりには感銘を受けました。

次の来日はいつになるのでしょうか。できれば合唱のある曲を、などと期待を込めてここに記しておきますが、更に研鑽を積んで、お迎えできたら良いな、と思います。

と、云う事で。

下記に貼り付けましたのは、10月20日(日)に三重県津市、10月26日(土)に東京都渋谷区で行なわれるharmonia + ≪EST≫コンサートのチラシです。

注意点ですが、合同演奏の予定だった三宅悠太氏の委嘱初演曲については、事情によりキャンセル。2011年に創る会が委嘱した『祈る』を演奏することになっています。

私はどうするのか、ということになりますが、乗れるところは何とか乗る、という感じでスケジュールを組んでいます。

チケットなどをご所望の方は、取り敢えず私にご一報いただければと思います。ちなみに、キャパの関係で東京分が手に入りにくい、かも知れません。

と、云う事で。

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一昨日(7/20)になりますが、勝どきにある第一生命ホールで行なわれておりました、山梨県の合唱団、アンサンブル・カーノの東京公演を見て参りました。以下、ごくごく簡単に感想などを(以下全て敬称略)。

演目は最近個人的にも触れる機会が非常に多い長田弘による詩をベースにしたシアターピース作品で、信長貴富作曲『食卓一期一会』です。指揮は依田浩、ピアノ・須永真美、演出・齋藤千津子、照明・木下泰男そして監修に作曲者自身、というスタッフ構成でした。

この曲、もともとアンサンブル・カーノが委嘱した作品ということになります。この合唱団、山梨県を拠点に活動しているわけですので、東京公演というのは相当な勇気と覚悟が要ったのでは、と慮りますが、まあ、間違っていないでしょう。

ソロあり、たぶん全員による独白あり、合唱あり(当たり前ですが)、振り付けありの作品ですが、非常にクオリティ高く、そしてまた暖かい雰囲気が会場を満たすような公演でした。堪能させていただきました。

加えて、やはり大変な才能と言いますか、楽曲が素晴らしいですね。諧謔さと批評精神に満ちた、傑作だと思います。ちょっと楽譜が欲しくなった次第。

最後になりますが、ちょっと驚いたのが、その集客力。このホールで立ち見、というのは今まで見たことがなかったですね。きっとメンバの努力と人徳によるものと思いますけれど、このあたり、見習いたいところです。

と、云う事で。

先週の金曜日(7/5)になりますが、上野の東京文化会館小ホールで行なわれていた、東京シンフォニエッタによる第33回定期演奏会を聴いてまいりました。以下、簡単に感想などを。

昨秋の西村朗特集に行けませんでしたので、今回は聴き逃すまい、という感じです。幸いぶつかる予定はなし、でした。

その中身はと言いますと、この団体の創設メンバであり初代代表でもあるという野平一郎氏の生誕60周年記念、ということになります。なので、演奏曲は野平づくし、となります。

委嘱初演が1曲あるはずでしたが、これがやむを得ない事情で演奏されず、プログラム全体が変更になったようです。

以下、曲順に。ごくかいつまんで。

1. 「ドゥーブル」~室内オーケストラのための~(1999-2000/2008改定)
このオーケストラのために書かれた曲で、まだ完成していない、と作曲家自身は語っています。ドゥーブルとは英語のダブルですが、この曲の中では二重、表裏、対立、協調等々、色々な意味を含んでいるようです。そんなわけで、曲の中では様々な音要素が左記のような意味を伴って、互いに切り結んでいきます。何とも鮮烈な印象を与える作品でした。

2. 「もう一つの・・・月」~フルート、ヴァイオリン、チェロ、とピアノの為の~(1999)
これも同じくこのオーケストラのために書かれた曲です。A.シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」へのオマージュであり、かつまたシェーンベルクとの、1世紀をまたいだ対話を試みた作品となる模様です。ある意味古典的な構成による、現代音楽の極北とも言える作品だと思いました。

3. 「アラベスク第3番」~サクソフォンとピアノの為の~(1980-81)
学生時代の曲なのだそうです。楽音、というよりはむしろ二つの楽器が出しうる様々な音の響き合い、ぶつかり合いによって成立している楽曲になるでしょう。作曲当時は極めて実験的な作品だったのではないかと思いますが、楽曲としての出来栄えがやはり素晴らしい。長く再演され続けていることが頷ける次第です。

4. 「挑戦への14の逸脱」~ピアノ、8人の弦楽器と電子音響の為の~(1990-91/93)
休憩を挟んで4曲目の大作へと。

この曲、20年以上前に書かれたものでが、実に日本初演とのことです。何しろ長大な曲なのですが、計14の断章からなっています。その基本的な音構造は以下の通り。ピアノとコンピュータがインタラクションを行ない、そこに弦楽器群が調停者あるいは仲裁者として介入します。ピアノの音はそのままコンピュータに入力されもしますが、鍵盤の動きなどもモニタリングしており、これらの情報から音を生成していく、ということになるようです。

そうして生み出される音像、音響は、まさに圧倒的なものだったのですが、この曲の再演という「事件」は、メタなレヴェルでも非常に面白いものでした。実は、20年前に作られたプログラムが現行のマシンでは到底そのままでは動かず、再現させるためには艱難辛苦があったのだそうです。まあ、そうですよね。

野平氏曰く、どうやら、こうした曲はゴロゴロしているらしい。20世紀後半という時代において、テクノロジと芸術というのは実に不即不離な形で発展してきたと思うのですが、テクノロジ側の進化の圧倒的な加速度は、こんな現象も生み出してしまったわけです。いやー、面白いですね。

テクノロジは相変わらず日進月歩。これからも様々に試行錯誤が続いていくのでしょうけれど、いったいどんなものが現われてくるのか、非常に興味深いところでもあります。

以上、インスパイアされるところが非常に多かったコンサートの、ごく簡単な感想でした。

と、云う事で。

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