白山人類学研究会の最近のブログ記事

昨日になりますが、東洋大学白山人類学研究会の会合に行ってきました。今話題の「白山会」ではありませんよ。20名を超える参加者が集う中、フィリピンはマニラのムスリム社会に関する報告が行なわれました。

長期にわたるフィールド・ワークに基づいたお話で、大変興味深く聴かせていただいたのですけれど、今回の話はあくまでも個別事例の紹介に過ぎず、更に言えば分析というよりは単なる観察にとどまっているのではないか、という印象を受けました。膨大なデータがあるのに勿体ないな、と思うのです。つまりは、この研究が、マイノリティ研究であるとか、地域社会研究といった従来からある大きな研究枠組みの中でどのような意味を持つのか、というところが思考され、詰められ、語られるべきではないかな、と考えた次第です。

要は、人類学の実践者は細かいことをやりつつも、一般化への意志は常に持っていないといけないと思うのですよ。私自身、例えば「鈴鹿市肥田町の獅子舞伝承」という個別事例について調べつつも、民俗芸能研究一般であるとか、身体論・身体行為論一般、はたまた地域社会論一般のようなところに話を広げよう、という戦略や意志は常に携えているわけです。乗っかれるところは乗っかっちゃった方がよい、というより乗っからないといけないと思うのですよね。それが研究というものなのではないかと考えています。

と、云う事で。

白山人類学研究会からのお知らせが届いています。是非ご参加下さい。まあ、月曜の18時って、社会人だとどう考えても参加できないと思うんですけれど...。取り敢えず、以下引用です。

白山人類学研究会関係各位

4月定例研究会のお知らせです。
本年度も原則第3月曜日の18時10分より東洋大学白山校舎で行ないますので、ご参加いただければ幸いです。


●白山人類学研究会 4月例会

日時:4月20日(月)18時10分より
場所:東洋大学白山校舎5401教室
(地下鉄東京メトロ本駒込駅、または都営地下鉄白山駅)

●研究会次第:
1. 2008年度会計報告
2. 発表
3. 研究会後、近隣で懇親会を開催いたします。ご都合の付く方はぜひご出席ください。


●発表題目:『フィリピンの首都マニラにおけるムスリム・コミュニティの社会形成と変容』

●発表者:渡邉暁子(東洋大学社会学部社会文化システム学科・助教) 

●要旨:フィリピンは東南アジアで唯一のキリスト教国家である。そのなかで南部フィリピンに居住するムスリムは、1960年代末より武力を伴った分離独立運動を展開してきた。このため、従来のフィリピン・ムスリム研究の多くは、中央政府と対立する南部イスラーム勢力をめぐる諸問題を主題としてきた。しかしながら、戦禍を逃れ、国内外での経済的向上を求めてマニラに移動したムスリムは現在12万人を超え、もはや特定の領域内でその社会を捉えることが困難になっている。首都において政治的、経済的に重要な位置を占めるようなったムスリムに対し、その社会に関する研究は端緒についたばかりである。
 本報告ではこうした研究動向をうけて、マニラのムスリム・コミュニティを対象とし、国家のマイノリティとしてのムスリムの社会文化面での動態を理解することを試みる。具体的には、グローバルなムスリム・ネットワークとムスリム・コミュニティ形成との関連、ムスリムとキリスト教徒との日常的な交渉や関係、都市マイノリティとしてのムスリムの自己表象の戦略といったものを、フィリピン国家をとりまくマクロな社会経済状況の変化との相互作用のなかで、ムスリム・コミュニティの社会形成過程に位置づけ、考察していく。
 マニラは、国内のキリスト教社会の中核であり、海外とフィリピン各地とを結ぶ中継地となっている。こうしたなか、こんにちマニラのムスリム社会では、伝統的規範を保守しようとする人びと、それらを相対化して距離をおこうとする人びと、イスラームに偏重する人びとといった多様な価値が並存する状況が生まれており、本報告ではそれらの要因を解明することをめざす。

と、云う事で。

白山人類学研究会からのお知らせが届いています。お近くの方は是非ご聴講下さい。

以下引用
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白山人類学研究会 会員および関係者各位

本年度第一回 白山人類学研究会を開催いたします。皆様ふるってご参加ください。

発表日時:4月21日(月)18:10

発表会場:東洋大学白山校舎 5401

発表者:東洋大学大学院社会学研究科 D3 小林ゆき

演題:「公道モータースポーツに対する開催地と隣国の世論の比較──マン島TTレースの事例」

概要:公道を閉鎖し行うオートバイのロードレース、マン島TTは、メガスポーツイベントとして世界的知名度がある一方、重大事故が発生することでも知られている。2007年には100周年を迎え、隣国イギリスのマスコミでも活発に報道された。本報告では、マン島の地元新聞エグザミナー紙の読者投稿と、イギリス放送協会(BBC)のウェブサイトにおける読者投稿から、開催国マン島とイギリス両国の世論の差を分析するものである。
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引用終

余談:ちなみに、マン島には一度行ったことがあるのですが、何とも面白い場所です。地域通貨があるんですよね。定期入れに入っているはずです。

と、云う事で。

2007年度第5回白山人類学研究会開催のお知らせが届いています。以下、引用。

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第5回白山人類学研究会開催のお知らせ

以下のとおり開催いたしますので奮ってご参加ください。

発表会場:東洋大学白山校舎5号館5101教室

発表日時:1月28日(月)18:10~

演題「熊野文化のダイナミクス――熊野学と文化にまつわる複数の言説をめぐって」

発表者:岡山大学大学院社会文化科学研究科
    山本恭正

要旨:今日、文化の概念は政治的意味に彩られ、それをめぐってさまざまな現象を生み出してきた。日
本では本来、民俗学が扱う領域とされ、地元でさえ記憶の片隅に追いやられきた風習や伝統行事が、意識的に「文化」とされ広く流通するような「言説」が多くみられる。平成16年7月、紀伊山地の霊場と参詣道、通称・熊野古道がユネスコの世界遺産に登録されたことで、国内外を問わず熊野の文化遺産や景観が一躍脚光を浴びることとなる。
 本発表では、日本の地域社会における文化の構築の問題に注目し、今まで熊野地方において「文化」と呼ばれていたものが具体的に何であったか。またそうでないものが、ある時期からそう呼ばれるようになったのはなぜか。そこにどのようなプロセスが存在し、背後にどのような力関係が作用しているの
か。ちょうど世界遺産の登録と時期を同じくして、成立した「熊野学」と呼ばれる地域学での言説や、
それに関連した研究会の活動などから、「文化」の表出のされ方について考えてみたい。

以下のようなシンポジウムの案内が来ています。ご興味のある方は是非足をお運び下さい。
私もちょろっと顔を出すかも知れません。

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東洋大学アジア文化研究所アジア地域研究センター
学術フロンティア国際シンポジウムのご案内

■日 時■ 2007年11月10日(土)
       12:45~17:30
■場 所■ 東洋大学白山キャンパス 6209番教室(白山校舎6号館2階)
■テーマ■ 東アジア・東南アジア諸国にみる経済発展と都市化による文化変容
              ――伝統文化と民族のアイデンティティ――
総合司会 後藤武秀(アジア文化研究所 研究員)

■基調講演■
「伝統医療を求める社会行動 ―性障害を例として―」
インドネシア国立ディポネゴロ大学学長 Dr. スシロ・ウィボウォ
 (Universitas Diponegoro :Dr.. Susilo Wibowo, M.S. Med.)

■シンポジウム■
       司会 西野節男・服部美奈(アジア文化研究所 客員研究員) 
 I 「社会変化がもたらす健康への影響-特に小児肥満とライフスタイルの改善について-」
   東洋大学ライフデザイン学部教授 杉田 記代子
                  
 II 「二つの珊瑚礁の間で櫓を漕ぐ-インドネシアにおけるグローバル化と高等教育改革のジレン
マ-」
   ディポネゴロ大学アジア研究センター事務長 
  シンギ・T・スリスティヨノ(Dr. Singgih Tri Sulistiyono, M. Hum.)

 III 「南カリマンタン、バンジャルマシンの木造帆船海運業と近代化の影響」
     ディポネゴロ大学文学部首席講師  エンダン・スシロワティ
         (Dr. Endang Susilowati, M.A.)

 IV 「国境の社会的意味-近代東南アジアにおける海民の移動・再考-」
     東洋大学アジア文化研究所 研究員 長津 一史                  
                  
◎インドネシア語による発表には通訳が付きます

主催:東洋大学アジア文化研究所アジア地域研究センター
●問い合わせ先●
アジア文化研究所 
竹内・山内(03-3945-7490 or 7219)

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