「宮城県内の山の神信仰に関する考察−桃生郡鳴瀬町野蒜新町地区の事例を中心に−」『東北民俗』第32輯、1998
本論文では、宮城県内の山の神信仰について、桃生郡鳴瀬町野蒜新町地区の事例を中心にして、刈田郡七ヶ宿町、及び本吉郡唐桑町の事例との比較を行うことにより、遠田郡小牛田町や鳴瀬町野蒜新町地区の山神社が何故産神として祀られているのかという問題に関して、山の神=豊穣神→産神というような原理的な説明ではなく、近世に於いて安産祈願が社会的な要請を強く持つようになった社会的背景や、鳴瀬町野蒜新町地区の山神社の縁起譚にあるような修験者の活動がそうした信仰を広めるのに果たした役割を見ていく必要があるのではないかと論じた。