Gregory Bateson & Margaret Mead著 外山昇訳『バリ島人の性格 写真による分析』国文社、2001.05(1942)
本書は、その当時はまだ婚姻関係にあったはずのGregory BatesonおよびMargaret Meadによる、1942年に出版された極めて著名な書物Balinese Character : A Photographic Analysis, New York Academy of Sciences : New York の全訳である。
759枚の写真(当然静止画)、それらに付されたBatesonによるコメント、それについてのMeadによる分析、という体裁をとる、今もなお不朽の価値を持つ画期的民族誌である本書は、当然のことながら「これぞまさに植民地支配の賜物」という批判を享受せざるを得ない代物であるとは言え、それも含めて大変重要な文献であることは間違いなく、その日本語訳刊行は誠に喜ばしいなどと考えた次第。
なお、当然のことながら、この仕事を静止画ではなく動画で行なうことにより、それこそバリ島人の身体行為が持つ特徴を、より精密に分析することが可能となることは間違いなく、更に言えば、そういう作業はバリ島人に対してのみならず、この世界に住むあらゆる人々に適用可能なものなのであって、それを行なうに際して、本書の手法は何度も繰り返し省みられねばならないものに間違いないのである。
私自身が、聞き書きに基づくテクスト主体の分析から、静止画像の分析へ、続いては動画像の分析へと移行しつつある状況なのだが、そんなこともあってか、研究者としての平山には大変有意義かつ刺激的な書物であった、と述べて終わりにしよう。(2002/02/11)