Christopher Nolan監督作品 Batman Begins
『メメント』を創った俊才Christopher Nolanが、豪華キャストを迎えて生み出した新しいBatman。かなり評価が高いようだけれど、あながち間違いではない。普通のエンターテインメント作品としても、コアなファン向けの趣向を凝らした作品としても鑑賞出来る大変優れた映画であると言っておきたい。
まあ、取り合えずキャストが凄い。主役はChristian Bale。この人、Velvet Goldmine (1998)に出ていたり、もっと遡ればEmpire of the Sun (1987。邦題『太陽の帝国』)に子役で出ていたりする物凄いキャリアを持つ俳優。でもって、以下列挙するとMichael Caine、Liam Neeson、Gary Oldman(珍しく悪役じゃない。何か裏があるのでは、と思ってしまった訳で…)、Ken Watanabe、Morgan Freeman、更にはあのRutger Hauerまでもが、といった具合。よく集めたものだと感心してしまう。
肝心の中身だけれど、少年時代、青年時代、修行時代(インドの山奥というかネパールとかティベットかと思いきや、ロケ地はアイスランド。)、最初の活躍と、兎に角長い期間にわたる主人公の成長プロセスを描いているにも関わらず、結構要領良くコンパクトかつ適切な形にまとめられていて、さすがは『メメント』の作者だな、と思った次第。幾らかかったか見当もつかないセットも見応えあり。現在、これ位がハリウッドの標準な訳です。
そうそう、幼少期に両親を強盗に殺された主人公が、そうした犯罪をこの世から無くす為に自ら犯罪者狩りに乗り出し、かといってそれはどこまで許されるのか、さすがに殺しちゃったらまずいだろうな、といった具合に苦悩する、というのがこのアメリカン・コミックの古典を原案とする物語の基本的な流れになっている訳だが、日本製コミックはとうの昔にそんな甘っちょろいものでは無くなっていて、いまや例えば『週刊少年ジャンプ』に連載されている『Death Note』(現時点で単行本は7巻まで出ています。)というとんでもない傑作を生み出すに至っている、ということを付け加えておこう。これは必読です。以上。(2005/07/26)