Tim Burton監督作品 Big Fish 2004.10(2003)
一つ前に紹介したGood Bye, Lenin!が母への愛の映画なら、こっちは父への愛を描いた映画。(前年あたりに実父を亡くしている?)Edward Scissorhands (1990。これが本当のタイトル。)のような映画史上に残る傑作を生み出した稀代のフィルム・メイカが、その後はまあまあの出来の映画を作り続け、ここへ来てあの映画に近いクオリティの作品をようやくもう一本作ってしまったかな、と思うような傑作である。
青年時代をEwan McGregorが演じるEdward Bloom(Albert Finney)は無類の物語り好き。実話とは思いがたいどうにも胡散臭い自らの過去についてのお話を語り続けて数十年、うんざりした息子(Billy Crudup)には疎んじられ愛想をつかされる始末。そんな彼にいよいよ死期が迫る中、久し振りに実家に帰った息子との関係は次第に打ち解けたものとなり、やがて真実が…、というお話。
要するに〈物語についての物語〉なのだけれど(所謂メタ・フィクション)、こういう複雑な構造を持つ映画というのはなかなか造り上げるのが大変であるだろうと思うのにも関わらず、観る者がすんなりこの映画の世界に入っていけるように調整された場面転換だの、脚本構成だのが兎に角見事の一言に尽きる。ここへ来て更に一皮剥けた観のあるBurtonが放つ会心作をお見逃し無きよう。以上。(2005/10/08)