清涼院流水著『カーニバル・人類最後の事件』講談社ノベルス、1999.4
ようやく刊行されたけれど、まだ完結していない。完結編『カーニバル・デイ 新人類の記念日』は1999年7の月までに刊行されるらしいので、それまではあんまりくだくだと述べるのは控えたいと思う。しかし、名所旧跡を網羅する形で、全人類を巻き込んでの大量殺人という話になってしまっているこの作品は、最早ミステリを大きく逸脱してしまっているようにも思えるのだけれど、考えようによっては、本書にもさりげなく示されている通り、地球そのものだって一つの舞台になりうるのだから、こういうのもたまにはいいかな、とも思う。でも、ここまでやると次が書けないんじゃないか、などという心配までしてしまうのであった。
なお、誰でも気付くと思うんだけれど、本書の各章は「どこどこの犯罪」あるいは「犯罪のどこどこ」みたいなタイトルが付けられていて、記述の主体がそれぞれJDC(日本探偵倶楽部)、RISE(犯罪オリンピックの主催者たるテロ組織)に書き分けられている。例外は「犯罪第25週」で、この辺り、かなり意味深な感じがする。どういうことなんでしょうね。(1999/05/04)