Michael Winterbottom監督作品 CODE 46 2005.03(2004)
Butterfly Kiss(1996)、Welcome to Sarajevo(1997)で知られる(と言って観てないのだが…)英国出身のMichael Winterbottom監督による近未来SFである。地味な作品だけれど、なかなかにメッセージ性の濃い良作となっている。
多分、人間クローンが普通に出来るようになった近未来が時代設定。そうなると、遺伝距離の近い赤の他人同士が増加してくるのは当然で、そのために作られた法律がCode46ということになる。要するにこの法律、遺伝距離が近いにも関わらずそれに気付いていない人間同士の性交渉を禁止すべく制定されたもの、という設定になっている訳だ。
そういう設定下で、Tim RobbinsとSamantha Morton(Minority Report(2002)に出ていた人ですね。)演ずるところの主役二人は恋に落ち、でもってうっかり同法律に抵触してしまい、そんなことから色々なことが起こって、最終的には何とも悲惨な結末を迎える、という物語になっている。
「要するに『妊娠小説』じゃん」とか言われてしまいそうなのだが、まあ、それはその通り。ただ、人間クローンが持つ問題点の一つを、とても分かり易い形で例示したものとして評価してよいと思うし、この映画は要するに、こと「不幸な妊娠」に関わることで、いつも割りを食うのは女性側、という図式は殆ど間違いないことで、それはどんなに科学技術が発達してもそんなに変わらないんだよ(そもそも避妊薬・避妊具の開発や人工中絶技術の発達でもさほど変わらなかった訳です。)、ということを表現しようとする恐ろしくシニカルな作品な訳で、これはこれでとても面白いと思った次第である。以上。(2005/06/08)