岡部隆志・斎藤英喜・津田博幸・武田比呂男著『シャーマニズムの文化学 日本文化の隠れた水脈』森話社、2001.07
基本的に国文学に近いところを専攻している著者達による、日本のシャマニズムに関する初学者向け入門書である。『古事記』『日本書紀』から、田口ランディ、笙野頼子まで、およそ1,300年にわたって書かれ続けてきたシャマニズムに関係する書物の解読・分析を中心に、日本のシャマニズムについて基本的な事柄は全て網羅した形となっているのだけれど、膨大な文献や研究資料が存在する日本のシャマニズム関連の諸事実を、ここまでコンパクトにまとめ上げた著者達の苦労は並大抵のものではなかったであろう。確かに「全体に記述スタイルが軽い。」だの、同じく「一般読者に媚びていないだろうか?」という批判も甘んじて受けることになるだろうことは一読瞭然なのだが、そこは森話社の営業方針との兼ね合い、ということで、余り突っ込まないことにする。(自分に跳ね返ってきそうだし…。)それはともかく、書誌情報もきちんとしているし、流れを損なう可能性があるとは言え書いておかないとまずい記述を全て欄外注にしっかりと残した本書を、あくまでも初学者向けとしてではあるけれど、取り敢えず恰好の日本シャマニズム入門書としてお薦めしたいと思う。なお、この装幀と頁数で税別2,300円は、少々高いかも知れない。私としては「今日の出版事情からして、こんなものでしょう。」という感じだけれど…。以上、何ともまとまりのない文章になったけれど、これで止めることにする。(2001/11/08)