麻耶雄嵩著『螢』幻冬舎、2004.08
笠井潔、竹本健治と並んで難解とも呼びうる本格・変格ミステリ群を書き続けている麻耶雄嵩の書き下ろし最新作である。
10年前に6人が殺された「ファイアフライ館」で合宿を行なうことになった、ある大学のオカルト研究会員達が遭遇する再び起こった殺人事件とその驚愕すべき真相、そして…、を描く。
いつものことながら一筋縄ではいかないこの作家による他の作品群と同様に、再び読者は煙に巻かれることになるわけだが、その熟練の領域に入ったようにも思う名人芸を堪能した次第。ついでながら、舞台装置や登場人物の設定に有栖川有栖の作風への接近を感じさせる傑作である。以上。(2004/11/22)