Jane Campion監督作品 In the Cut 2004.10(2003)
ご存知「超」が付く寡作映画作家の一人Jane Campion監督の4年振り長編。恐らくは娯楽作品を目指したものだと思うのだが、それが災いしたのかはっきり言って失敗作である。
主役は初スリラー出演となったらしいあのMeg Ryan。身近に起こる連続殺人事件を追うマッチョな刑事(Mark Ruffalo)の接近を微妙なものとして感じつつも受け入れてしまう彼女が辿り着く衝撃の真相とは、という感じの流れ。何だか、似たような作品が一杯ある訳で、いささか食傷気味なのである。
さすがに途轍もない力量の同監督だけに、隅々まで神経の行き届いた極美映像にはやはり目を見張るものがある(撮影監督は同監督のholy smoke!も撮っているDion Beebe。)。また、男性のマッチョ性(変な言葉だが…)みたいなものを基本的に再評価する、というこの映画の基本コンセプトには、そういういわば性表象に関わる問題を追及してきた同監督のキャリアを振り返るなら大変興味深いものがあるのも事実ではある。
とは言いながら、娯楽作品としてもそれほどのものではないし、かと言って取立てて社会性のある映画でもないし、更にはアート系作品には程遠いという実に中途半端な位置付けしか出来ない作品で、「失敗作」であるという根拠はその辺にある。以上。(2005/05/26)