宮田登著『都市空間の怪異』角川書店、2001.11
本書は、民俗学者・宮田登が生前準備し、一昨年の死去によりその作業が途絶してしまったためにやむを得なくやや中途半端な形で出版された「都市における妖怪現象」に関する論考を集めた論文集、ということになる。その中身は大体これまで宮田がどこかで述べていたことと大同小異なので特に印象に残るようなものでもなかったのだけれど、宮田および本書の解説を書いている小松和彦という、二人の妖怪研究者の圧倒的な影響下にある京極夏彦への言及だの、更にはちょっと方向は違うのだけれど同じく今日を代表するエンターテインメント作家である鈴木光司や貴志祐介らの作品への言及は、それなりに興味深いものであった。何だか、読んでいるものの傾向が私と同じなのである。研究領域が近いから当たり前なのかも知れないけれど…。以上。(2002/06/26)