E.C.Krupp著 田川憲二郎訳『天と王とシャーマン 天に思いを馳せる支配者たち 』三田出版会、1998.6(1997)
天文学者が考古学の文献を大量に読みあさって纏め上げた大著である。2段組で462頁もある。しかも話にまとまりが無く、だらだらとした記述が続くのでいささか退屈してしまった。まあ、いわゆる「トンデモ本」ではなくて、「超古代文明」だの「宇宙パワー」なんてものは出てこない。ただ、それだからといって決して学問書として新しい見解を述べている訳でもないし、自分の手で調べたことなんて一つも無いみたいだし、そうなると、本書は一体何のために書かれたんだろうなどと悩んでしまう。まだ、「トンデモ本」の方が面白いんだけどな。この本は余りにも退屈すぎる。ちょっと期待した「ネオ・シャーマニズム」への言及もほんのわずかである。それはおくとして、「E.B.テイラー」はないのじゃないかい。普通は「タイラー」だよね。翻訳者が英文科辺りを出ているせいなのかも知れないけれど、これくらいは常識の範囲ですよ。理工学部出身の私でも知っている位の人なんだからね。他にもとんでもない誤訳が多々ありそうな感じでしたが、あんまり書き連ねるのは止めておきましょう。(1998/11/21)