Sam Mendes監督作品 Road to Perdition
American Beauty(1999)などというとんでもなく斬新で面白い映画を作ったSam Mendesの長編第2作。シカゴ辺りのアイルランド系マフィアの一員であるMichael Sullivan(Tom Hanks)は、ひょんなことからそのボス(Paul Newman)の馬鹿息子に妻子を殺され、更には自分と生き残った長男の命も危うい状況に追い込まれるのだが(追跡する「変態殺し屋」を演ずるのは、今をときめくJude Law。以上のように、俳優陣は誠に素晴らしい。)、不屈の精神力を発揮。見事に復讐を成し遂げる、というお話。テーマは端的に言って「親子の絆」。組織の論理に従うか、血縁的、あるいは擬制的な親子関係(要するにマフィアにおける親分子分関係)を尊重すべきか、というディレンマに陥るHanksとNewmanがみせる苦悩の様子は、なかなかに説得的。禁酒法時代の再現も巧みで、そこそこに堪能できる作品である。
でも、なにやら恐ろしく古典的な作風で、確かに良くできた映画であるとはいいながらも、多大なる不満が残ったことも事実。何で今時この才能ある伸び盛りの若手監督にこの作品を作らせたんだろうか?もったいない気がする。それより何より、そもそも、Hanksというこういう役が一番似合わない役者を主人公に抜擢してしまったのは、大間違いのような気が…。この人、基本的に喜劇俳優なわけです。脱皮を果たしたとは、本作を見る限りでは到底思えません。ちなみに、似たような形で、暴力の連鎖が中心的プロットであり、そんな中で自滅していく男を描く映画を多々監督し主演する元々は基本的にコメディアンである人物に北野武がいるのだけれど、彼の方がそういう役にぴったりはまってしまうのは何故なのか、とふと思った次第。ということで、次は彼の最新作、『Dolls』となるわけです。以上。(2002/11/12)