川田順造著『サバンナ・ミステリー 真実を知るのは王か人類学者か』NTT出版、1999.12(1992)
本書は、以前にリブロポートから出ていた同一内容の本に、新たに書き下ろした第Y章を加えて再刊されたものである。アフリカ西部のモシ王国において、「即位三十三年の儀礼」が、語り手によってヴァリエーションを持つ各種伝承や、場合によっては恣意的とも言える情報選択によって創出される過程を描きつつ、歴史とは何か、伝統とは何か、という事を問うている。毎度の事ながら固有名詞が頻出してとても読み難いのだけれど、言いたい事は良く分かります。また、やや値段が高いのが残念(本体1,700円)。恐らく読者として想定されている中・高生にこそ是非とも読んで貰いたい本であるからだ。(2000/03/31)