京極夏彦著『豆腐小僧 双六道中 ふりだし』講談社、2003.11
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1999−2000年にかけて、「本朝物怪盛衰録」として『週刊現代』に連載されていた大長編妖怪小説の単行本化である。
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まず、装幀が素晴らしい。主人公の「豆腐小僧」を知らない方はこちらをご覧いただきたいのだが、要するにこの本自体が豆腐のような直方体で、ご丁寧に裏表紙には「もみじ」の絵まで描かれていたりする。思わずうなる。
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それは兎も角、「京極堂」シリーズだの、その他江戸時代物などにおいては、基本的に当事者の視点で語る、というスタイルをとっていたために今日的な妖怪論をあからさまな形で示すことには禁欲的であった京極氏だけれど(端々にはそれが垣間見えていたわけであるが…)、本作品はその語り手を今日の誰それに設定しているが故に、京極氏自身の妖怪論が端的に開示されているように思う。
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その詳細は省くが、640頁に要約されている理論とその帰結として出てくる「豆腐小僧は妖怪の完成型である。」というテーゼには爆笑した次第。相変わらずいい味だしてます。以上。(2004/09/29)