浦賀和宏著『時の鳥籠 The Endless Returning 上・下』講談社文庫、2014.05(1998)
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メフィスト賞作家・浦賀和宏による、「安藤直樹」シリーズ第2長編の文庫版である。ノベルス版刊行から、実に、16年を経ての文庫化、となる。
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初対面のはずの少女を見て「私」は思った。「私はこの子がもうじき死ぬのを知っている」と。なぜなら、私が生まれたのはこの子を救うためだから…。気を失って倒れた私が語りだすとき、世界の崩壊が始まる。そんなお話。
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前著『記憶の果て』と対をなす、ということになるのだろう。様々な伏線が回収されながら、更なる深みへと沈んでいく…、そんな作品になっている。続く作品の文庫化が待たれる。以上。(2014/06/20)
山本弘著『MM9 -invasion-』創元SF文庫、2014.05(2011)
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山本弘による、《MM9》シリーズの第2長編文庫版である。このシリーズの基本設定については第1弾である『MM9』(2007)の紹介をお読みいただきたいのだが、要するに怪獣小説である。ライトノベル以外ではシリーズものを多分書いていない山本弘には珍しい続編、となる。
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前作から7年後。あれ以来眠りについたままの怪獣6号「ヒメ」を移送中のヘリが、突如飛来した青い火球と接触し、墜落する。その頃、つくば市に暮らす高校1年生・案野一騎の頭の中に、少女の声が呼びかけてきた。それは、宇宙怪獣による地球襲来を警告するものであった。未曾有のに巻きこまれた一騎とその女友達・酒井田亜紀子の運命は、そしてまた、ヒメは目覚めるのか…、というお話。
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物語は格段にスケール・アップ。きっと第1弾には多くの意見が寄せられたはずで、突っ込みにはカヴァを、称賛には更なる精進を、というようなことを基本ポリシィとして書き進められたのではないかと推測する。本当に素晴らしい作品に仕上がっていると思う。
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昨年の段階で、既に第3長編となる『MM9 -destruction-』も刊行されているのだが、間もなく文庫化となる模様である。楽しみにしたい。以上。(2014/07/10)
フィリップ・K・ディック&レイ・ネルスン著 佐藤龍雄訳『ガニメデ支配』創元SF文庫、2014.06(1967)
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アメリカの作家フィリップ・K・ディック(Philip K. Dick)による、珍しい共作長編の初邦訳である。原題はThe Ganymede Takeover。”Ganymede”は多分、「ガニミードゥ」みたいに発音するのだと思う。
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共作の相手は、ディックの3歳下のSF作家レイ・ネルスン(Ray Nelson)。とは言え、内容的にはほぼ全面的にディックの世界。本書の成立事情などについては、牧眞司による素晴らしい巻末解説をお読みいただきたいと思う。
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1960年代、地球はワーム型異星人であるガニメデ人に占領されてしまった。しかし、わずかな希望が残されていた。それは、テネシー州の山中で反撃の機会をうかがう黒人解放戦線の指導者パーシィX、そして、どこかに隠されているという、天才科学者バルカーニが開発した「最終兵器」だった。地球の存亡をかけた最後の戦いが今始まる、というお話。
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パーシィXがテレパシィ能力者だったり、最終兵器というのが要するに幻覚誘発兵器、という辺りがディック。いわゆる、「現実崩壊感」というこの作家の最大の持ち味であり武器が随所に現れていて、とても面白かった。
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なお、後ろの方がやけにあっさりしていて、ちょっと肩透かしなところもあるのだが、これは出版事情(要はページ数)によるものらしい。オリジナルはもっと長かったようなのだけれど、現存しない模様。実に、実に残念である。発見された、なんていうニュースが出ることを、密かに願う。以上。(2014/07/15)
礒山雅著『モーツァルト』ちくま学芸文庫、2014.06(2000)
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国内におけるJ.S.バッハ研究第一人者・礒山雅(いそやま・ただし)による、モーツァルト論である。もともと講談社選書メチエから『モーツァルト=二つの顔』というタイトルで出ていたものに大幅な改訂を施したもの、になる。
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さすがに最近は言われなくなっているが、モーツァルトは貧困の中で死んだ、といったような風説のおかしさや、その天才神話がどうやって作られていったか、といったことを新資料等々から明らかにしていく、といった内容。
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『レクイエム』や『魔笛』など、音楽に関わっている関係で割と親しんでいるものの、一体どうやって成立したのか非常に不明確だったのだけれど、これを読んで腑に落ちた次第。これからも色々歌っていくと思うので、座右の書としたい。以上。(2014/07/25)
沢村浩輔著『夜の床屋』創元推理文庫、2014.06(2011)
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大阪生まれの作家・沢村浩輔による連作短編集の文庫版である。著者にとり、これがデビュウ作となる。オリジナル・タイトルは『インディアン・サマー騒動記』。コンテンツには2007年に第4回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作「夜の床屋」が含まれているのだが、これの応募時のタイトルが「インディアン…」だったらしい。
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大学生の桜と高瀬は、山道で迷い、無人駅での一泊を余儀なくされる。深夜になり、高瀬は一軒の理髪店にまだ明かりがともっていることに気がつく。好奇心に駆られた高瀬が、佐倉の制止も聞かず店の扉を開けるとそこには…、という表題作を含めて計7本。それぞれ、読者の予想を裏切る何とも不可思議な世界が展開される。
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オリジナリティ溢れる作品で、とても面白かったのだが、この著者、これを書いてから何をしているのかというと、実は現時点で何も発表していない。色々と大変なのかも知れないが、せっかくの才能を埋もれされているのは何とももったいないというか。この文庫化を機に、執筆活動が再開されることを期待したいと思う。以上。(2014/08/01)
篠田節子著『はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか』文春文庫、2014.07(2011)
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直木賞作家・篠田節子による、中篇4本を集めた作品集の文庫版である。初出誌はすべて『オール讀物』。帯のコピーによると、「科学技術に翻弄される人間たちはこの世界を生き延びられるのか」。
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「深海のEEL」では体内にレアメタルを蓄積しているウナギを巡る騒動が、「豚と人骨」ではマンション建築現場で発見された縄文遺跡を巡る悲喜劇が、表題作「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」ではサル型ロボットにストーキングされるハイテク部品メーカの女子事務員が、「エデン」では極寒の地で進められるとんでもない大事業が、それぞれ描かれる。
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テクノロジーと人間、みたいなテーマをデビュウ時からずっと追い続けている偉大なエンターテインメント小説家による、何とも見事な作品集である。第一人者による、円熟した手腕を堪能できる一冊、と申し上げておきたい。以上。(2014/08/10)
森博嗣著『実験的経験 Experimental experience』講談社文庫、2014.07(2011)
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デビュウから間もなく20年となる森博嗣による、小説ともエッセイとも評論ともつかない作品の文庫版である。元々は『小説現代』に連載され、2011年に講談社から単行本で刊行された。今回の文庫化にあたっては、解説を筒井康隆が担当している。
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全部で10章。Chapter1からChapter10までのナンバリングがされている。各章の頭には、森博嗣自身による写真が置かれる。中身とは、関係ない気がする。
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各章で記述されているのは、森博嗣がミステリや他の小説を書く際に思いついたことや、考えてしまったこと、ではないかと思う。そのままだと使えない、あるいは使えなかったのだが、書き溜めてきたものを、より抜いて放出、ということなのだろう、と推測する。
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と書いては見たものの、実は最初から最後まで用意周到に計算され、構成された「小説」あるいは「詩編」なのかも知れない。そんな可能性も、ないではない。
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とりあえず、意味が分からないところは殆どなくて、その点は安心して手に取っていただきたいと思うのだが、私のようなものには結構ツボな感じの、それこそ「実験的」な「作品」である。以上。(2014/08/12)
小澤征爾・村上春樹著『小澤征爾さんと、音楽について話をする』新潮文庫、2014.07(2011)
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世界的に有名な二人による、インタヴュウ集である。一年間にわたって行なわれた村上春樹による小澤征爾へのインタヴュウ全6回分が収録されている。今回出た文庫版では村上春樹による特別エッセイ「厚木からの長い道のり」が追加。なお、第11回小林秀雄賞を受賞していることも付け加えておきたい。
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村上春樹の聞き手としての優秀さは『アンダーグラウンド』(1997)でも証明されていたけれど、ここでも、この人でなければここまでは聞けなかっただろう、というような見事なインタヴュウ集になっている。本当に楽しい。
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とにかく、深くて、豊かな内容を持つ書物である。音楽に少しでも関わっている者は、必ず読んでおくべき書物、と述べておきたい。以上。(2014/08/15)
阿部智里著『烏に単(ひとえ)は似合わない』文春文庫、2014.06(2012)
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著者である阿部智里が早稲田大学在学中に執筆し、第19回松本清張賞を史上最年少で受賞した作品の文庫版である。現在3巻まで出ている「八咫烏(やたがらす)」シリーズの第1巻にあたる本書、いかにもファンタジィな感じの美しい表紙が印象的なこの作品だが、実は…。
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さてさて、「八咫烏」一族が支配する「山内(やまうち)」という世界が本書の舞台。折しも世継ぎの若宮の后(きさき)選びが始まり、東南西北に位置する大貴族4家から4人の后候補が桜花宮(おうかぐう)に出廷し、その才色を競い合っていた。反目し、敵対し合い、時には協力し合う后候補たち。そんな中、ある事件が出来し、宮廷内は俄かに騒々しくなっていくのだが…、というお話。
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ちょっと要約不可能というか、このくらいしか書けない、と申し上げておきたい。松本清張賞、というのが頭にインプットされた状態で読んでいくはずなので、ちょっとだけ予感めいたものはあるのだけれど、そう来るのか、と。単独でも十分以上に面白く、加えて次巻以降への期待も膨らむ驚愕と戦慄の第1巻である。以上。(2014/08/20)
歌野晶午著『春から夏、やがて冬』文春文庫、2014.06(2011)
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歌野晶午による、2011年発表の長編文庫版である。実に第146回直木賞候補作。同じ文庫にある『葉桜の季節に君を想うということ』(2003)を彷彿とさせるタイトル、良く似た表紙デザインを持つ作品で、それならば、と身構えてしまうのは致し方のないところ。
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スーパーで保安責任者として働く平田は、ある日万引き犯の末永ますみを捕まえる。容赦なく警察に突き出すのが普通だが、ますみの免許証を見て平田はハッとする。昭和60年生まれ。それは平田の娘の生年と同じ…。偶然の出会いは、二人の運命をどのように変えていくのか…、というお話。
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余り詳しいことは書けないので、あらすじは冒頭程度で。確かに衝撃的な内容ではあるし、リーダビリティは高いし、読みごたえも十分だし、平田という人物の造形はそれはそれは見事なものだと思う。
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それでは果たして傑作と言えるのか、というと、結構難しいものがある。それは一言で言えば、偶然に頼りすぎていないか、ということなのだけれど、物語の推進力として、それは諸刃の剣。この作品に関して言えば、その使い方がやや不自然な方に傾いているように思われた次第である。以上。(2014/08/22)
誉田哲也著『ドルチェ』新潮文庫、2014.06(2011)
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誉田哲也による、「女刑事・魚住久江」を主人公とする警察小説連作短編集の文庫版である。元々、2006年ごろから2010年にかけて『小説新潮』に掲載された6本を収録している。2012年には松下由樹主演でTVドラマ化された。
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収録作は「袋の金魚」「ドルチェ」「バスストップ」「誰かのために」「ブルードパラサイト」「愛したのが百年目」の6本。魚住久江は42歳。元捜査一課の刑事で、独身。捜査一課を辞め、所轄に配属されて10年。彼女が捜査一課に戻らない理由は、人が殺されて始まる捜査より、誰かが死ぬ前の事件に係わりたいから、であった。そんな、所轄に生きる女刑事・魚住久江が関わる、6つの事件を描く。
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捜査一課ではない、ところであるとか、42歳である、ところであるとか、そもそもの設定がうまいな、と思う。「姫川玲子」ものや「ジウ」シリーズなどとは、明らかに一線を画している、とは言えやはりこの人らしいノワールなところもあり、と何とも絶妙な味わいを持つシリーズの第1弾、である。以上。(2014/08/25)
三津田信三著『生霊(いきだま)の如き重(だぶ)るもの』講談社文庫、2014.07(2011)
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いまやホラー、ミステリ界の重鎮となった三津田信三による、2011年に講談社ノベルスで出ていた刀城言耶(とうじょう・げんや)もの第2短編集の文庫版である。元々は『メフィスト』などに掲載。解説は円堂都司昭が、装画はおなじみの村田修が担当している。
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収録されているのは計5本。以下に、想像力を刺激するはずのタイトルを並べておく。「死霊(しりょう)の如き歩くもの」、「天魔の如き跳ぶもの」、「屍蝋の如き滴(したた)るもの」、「生霊の如き重るもの」、「顔無の如き攫うもの」。
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そのうち、表題作「生霊の如き重るもの」はこんな話。刀城言耶は、大学の先輩・谷生(やちお)龍之介から、疎開していた本宅で起こった出来事の話を聞かされる。そこで語られたのは、「生霊」=「ドッペルゲンガー」の謎だった。怪異と聞けば他のことは忘れてしまう言耶は、龍之介が見たものの正体について、解明を始めるのだが…。
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刀城言耶の学生時代に焦点を当てた作品集で、若き日の言耶がどんな青年だったのかをうかがい知ることが出来る。全部で540ページくらいあるので、短編集、というよりは中編集になるのかも知れない。この作者ならではの、色々なタイプの怪異、そしてまた色々なタイプの解決を楽しむことが出来る、かなりお得な1冊である。以上。(2014/08/27)
井上夢人著『ラバー・ソウル』講談社文庫、2014.06(2012)
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元岡嶋二人の一人である井上夢人による大長編の文庫版である。解説まで入れて685頁もある。初出は『IN☆POCKET』2010年6月号から2011年12月号。タイトルは勿論The Beatlesによる1965年発表のアルバムからとられており、章構成も同アルバムに基づいている。
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鈴木誠は36年間孤独に過ごしてきた。彼と社会とのつながりは、ただ一つビートルズの評論にあった。そんな彼が、雑誌の撮影で美縞絵里という美しいモデルと出会うことから物語は始まる。彼女に心を惹かれてしまったが思いをうまく伝えられない鈴木誠は、思いを伝えるべく異常な行為に身を染めていくのだが…、というお話。
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上の要約ではうまく表現できていないのだが、中身はかなりアクロバティックなミステリ。井上作品を読んできた方なら概ね問題なさそうだが、少々長いのでややイライラする読者もいるのではないかと思う。そこは是非とも、我慢して最後まで読んでいただきたいと思う。そこには驚愕と感動が待っているはずだ。以上。(2014/08/29)