Christopher Nolan監督作品 『ダークナイト』
2000年代版バットマン・シリーズの第2弾にして、あの傑作『バットマン・ビギンズ』の続編。キャスト・スタッフも第1弾と殆ど同じで、記録的な興行成績を上げている模様なのだが、確かにこれは素晴らしい。
『ビギンズ』ではクリスティアン・ベイル(Christian Bale)演じるブルース・ウェインがバットマンになるまでを描いたが、この作品ではヒース・レジャー(Heath Ledger)がその大役を射止めたバットマン最強・最凶の宿敵ジョーカーとの対決が描かれる。
この作品のバットマン・ジョーカーと並ぶもう一人の主役でありコミック版のバットマン・シリーズの基本キャラでもある地方検事ハーヴィ・デント(アーロン・エッカート:Aaron Eckhart)が本作品ではオリジナルからは幾分ずれる形でその役割を与えられている。要は、タイトルの闇の騎士=ダークナイトがバットマン、デントが光の騎士=ホワイト・ナイトということになるのだがその先は見てのお楽しみ。
バットマンとデントがジョーカーと対峙する中、ヒロインであるレイチェル・ドーズ(マギー・ギレンハール:Maggie Gyllenhaal。ケイティ・ホームズ:Katie Holmesの降板で交代。)はデントと良い仲になり、話は三角関係的様相を見せる。このプロットとバットマン+デント対ジョーカーというプロットがうまい具合にねじれあいながら、全体の物語は進行するという趣向になっているのだが、それらがどういう結末になるのかも見てのお楽しみである。
さてさて、この1月に惜しくもこの世を去ってしまったヒース・レジャーの鬼気迫る見事なジョーカー振りにはやはり圧倒される他ないのだが、全篇を覆うダークな雰囲気と画面構成、そしてまた音楽、更には殆どあり得ないくらい素晴らしい脚本と演出、正義と悪を巡るきちんと今日の世界の有り様を踏まえたテーマ設定の的確さ等々、どれをとっても非の打ち所がなく、これは娯楽映画としての一つの完成形とも言えるのではないだろうかとすら思う。
今回の興行的な大成功で当然の如くこの後には第3、第4作…が作られることになるのだろうけれど、是非ともこの作品を超えて欲しいものだ。どうやら監督を含めスタッフやメイン・キャストは変わらない模様で、その他の主要キャスト予測には何とジョニー・デップ(Johnny Depp)、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)、フィリップ・シーモア・ホフマン(Philip Seymour Hoffman)らの名前が挙っている。あくまでも噂に過ぎないとは言え、何とも楽しみな話である。以上。(2008/08/24)