Guillermo del Toro監督作品 Hellboy II: The Golden Army 2009.05(2008)
傑作ファンタジィ映画『パンズ・ラビリンス』を作ったメキシコ出身の映像作家ギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)が、基本的にハリウッド資本によって制作しているアメコミ・ベースのアクション映画シリーズ第2弾である。日本では『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』のタイトルで封切られた。
2004年公開の第1弾Hellboyについてはこの欄に載せていないけれどDVDは当然出ているので先にご覧になった方が良いだろうと思う。まあ、そちらを観なくてもこの一つの作品としての完結度の高いこの映画は理解出来るとは思うのだけれど。ここでは取り敢えず『ヘルボーイ』がマイク・ミニョーラ(Mike Mignola)というアメリカ出身のコミック作家が1994年に生み出した作品であること、クトゥルー神話やら魔術やら民話やら何でもありな感じのアクション・ヒーローものであることは押さえておくべきである。未読だけれどコミックは邦訳されているし、同じキャスト、スタッフによるアニメーション化もなされていてこれのDVDも出ている。興味のある方はチェックして欲しい。
さて、この第2弾だけれど、第1弾のまどろっこしさがなくなり、よりコミカルに、よりスピーディに、そしてまたより洗練度を高めた方向に進化を遂げている。何よりも、この作品における美術とメイクアップ、撮影の素晴らしさには目を瞠るものがある。特にメイクアップに関しては今年のアカデミー賞にノミネートされていたりもしたのだが、あの受賞作(『ベンジャミン…』)よりもこっちの方が間違いなく優れている、と思うのは私だけではあるまい。兎に角、あの『パンズ・ラビリンス』を遙かに超える質と量のクリーチャー群には驚かされること間違いなしなのである。
特筆すべきは確かに美術やメイクアップと言ったところではあるのだけれど、寓意性に富んだエンターテインメント作としても非常に良く出来ていて、封印されたゴールデン・アーミーを復活させ、自然破壊を続ける人間たちに最終決戦を挑もうとする妖精の王子と、それを阻止せんとするヘルボーイ(ロン・パールマン=Ron Perlmanが演じる。)とその仲間たちの何とも切ない戦いとその結末には、思わずのめり込まざるを得なかった。次回作があるのかどうか不明だが、この次は絶対に劇場で、と思ったほどの傑作である。以上。(2009/08/28)