Jewel Goodbye Alice in Wonderland
3年振り通算5枚目。多くの人たちの不評に反して、前作0304は何とも大胆な試みとしてそれなりに面白いと思った私なのだが、この作品はそれ以前のアコースティック・フォーク路線に若干戻った感じのアルバム。でも、例えば第6曲“Only One Too”などには前作の売れ線ポップ路線へのこだわりも垣間見えたりして、「人がなんと言おうとこういうのもやりたいのよ!」みたいな気分も感じさせられたりする。まあ、やはりこの人がもっとも得意とするのは第3曲の表題曲や最後の曲“1000 Miles Away”みたいなアコースティック・ギターを携えて歌いまくる、というものなのだから、こういう一歩後退はある意味正解だろう。もうちょっと言うと、前作の実験的試みは決して無駄ではなかったわけであり、特に5曲目“Satellite”とか8曲目“Drive to You”などに端的に現われているほのかに前作を彷彿とさせる(第6曲はよりあからさまなわけです。)ロック調みたいなものはなかなか良い味わいを呈していて、こういうテイストはもし前作の「実験」がなかったら生み出し得なかったものだと思う次第である。まとめると、一歩後退の中に二歩くらいの前進が所々感じられる傑作、ということになるだろうか。以上。(2006/05/31)