MUSE BLACK HOLES & REVELATIONS
英国を代表するロック・バンドの一つとなったMUSEの新作。何ともヴァリエーションに富んだ内容を持つアルバムで、まあ「意欲作」である、とは一応言えるだろう。ただ、例えばソウルっぽい志向性を持つ第3曲“Supermassive Black Hole”や、あたかもNew Orderみたいなテクノ志向の第4曲“Maps of the Problematique”、あるいはまたQueenみたいな第5曲"Soldier's Poem"などに端的に現われているように、色々なことに手を出してしまったが故にどうにも今ひとつ各々のジャンル志向を完全には貫き切れていないというか消化し切れていないのも事実で、聞く方としては、「もうちょい寝かして漬け込ましてくれ」と言いたくなる次第。まあ、このバンドの力量は良く分かったので、これは次回作に期待かな、とも思う。ちなみに、第2曲"Starlight"や、第6曲“Invincible”といった、彼らがその偉大な業績である1st及び2ndでやっていたことをほぼ継承している楽曲はさすがに「もう手慣れた」、という感じでとても良い。破綻スレスレの最終第11曲も“Knights of Cydonia”もある意味面白い。まとめると、確かに色々なことに取り組んでいて、その意欲や能力は良く分かったのだけれど、全体としての完成度について言えば、もう一段か二段の練り込みが欲しかった作品、となる。以上。(2006/07/27)