TEXAS RED BOOK
スコットランドはグラスゴウが生んだ、UKでは知らない人がいなんじゃないかとさえ思う女性シンガーSharleen Spiteri率いるバンドTexasの通算7枚目。前作辺りで頂点に達したかに見えた「官能ポップ」路線から、このバンドの原点とも言える硬質ロックへの回帰を感じさせる作品。コーラス部分が素晴らしい、何とも明るさに満ちた秀逸なポップ・チューンである2曲目'GETAWAY'で始まるこのアルバムは、アコースティック・ギターを基調とする5曲目'CRY'で往年のファンを唸らせ、以後終曲の第12曲"RED BOOK"まで取り立てて言うほどのものではないとは言え一応水準以上な気がする楽曲群で引っ張る。ついでに言うと、良くは知らないthe blue nile というバンドのヴォーカリストであるPaul Buchananとの競演である6曲目'SLEEP'もとても良い楽曲である。ここまで来たら一気に、結局は今年最大の収穫であったと言えるNew Orderの最新アルバムがその中で果たしているバンド・サウンドへの回帰、ということまでやってもらいたかったところはあるのだが、このところの基本路線である作り込みサウンドと今回若干元に戻った感のあるやや硬質な歌い方のバランスも今まで以上に良く取れていて、これはこれで成功した作品ではないかと考えた次第である。以上。(2005/12/08)