THOM YORKE THE ERASER
この世界における最重要バンド(後述するように最早「バンド」ではなくなっている気もする。)であるRADIOHEADのヴォーカルであるトム・ヨーク( Thom Yorke )による一応「ソロ・アルバム」という位置づけで発表された作品。しかし、その内容はというと、RADIOHEADが発表した2000年のアルバム KID A以来のディジタルでアンビエントな雰囲気の路線と何ら変わることはない。プロデューサもRADIOHEADの作品や、あるいはBeckやTravis、最近ではPaul McCartnyの作品を手がけてきたナイジェル・ゴドリッチ( Nigel Godrich )で、このことは要するに最近のRADIOHEADが、バンド体というよりはトムとナイジェルの共同作業プロジェクトと化していたことを端的に示すものとしか思えないのである。ちなみにこの作品、その中身も決して悪くないけれど、魔法使いらしき人物が街を流し去ろうとしている(要するに「イレース=消去」しようとしている)イメージの、何とも扱いにくい紙ジャケットのデザインは誠に秀逸である。以上。(2006/07/21)